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紆余曲折あって消防署の“看板娘”に 消防士たちを癒やす米国の元保護犬が賞に輝く

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

元保護犬が「ドック・オブ・ザ・イヤー」に選出され米国で話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
元保護犬が「ドック・オブ・ザ・イヤー」に選出され米国で話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 米テキサス州の消防署に引き取られた保護犬の女の子が、米国動物虐待防止協会(ASPCA)の「ドック・オブ・ザ・イヤー」に選出されるという名誉に輝きました。“看板娘”として消防士たちを癒やしている功績が評価された結果ですが、そこに至るまでにはハリケーンからの避難や養子縁組の失敗など、長い物語があったようです。安住の地と“天職”にようやくめぐり合えた末の受賞だけに、消防士たちの喜びもひとしお。複数のメディアも報じるなど、全米から注目されています。

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出動やトレーニングにも参加 専用の遊び場も

 3歳の女の子「クレメンタイン」ちゃんは、カタフーラ・レパード・ドッグとハウンド犬のミックス。2021年5月に米ルイジアナ州の動物シェルターで保護されましたが、同年8月には同州を襲った昨年ハリケーン「アイダ」の影響を受け、ASPCAによってテキサス州シーダーヒルの動物シェルターに移送されました。

 同シェルターでは里親を2度見つけましたが、マッチングがうまくいかずシェルターに戻るという苦境が続きます。そこで新たな道を開いたのは、シーダーヒル消防局の第212分署でキャプテン(分署長に相当)を務めるロバート・モーリーさんでした。モーリーさんは、消防隊員のストレスを軽減するサポート役になる犬の“採用”を局長に提案。すぐに支持を得ることができたと、米誌「ピープル」電子版に語っています。

「ある日、動物シェルターからさほど遠くない場所に出動した後、どんな犬がいるのか見てみようとシェルターに立ち寄りました。保護犬の里親になることを啓蒙するために、地元のシェルターから迎えたいと考えていたのです。そしてシェルターでは、里親探しに苦労していて、できれば年長で子犬のようなしつけや訓練なしで署に順応できる犬を希望していると伝えました」

 そうして同年10月、モーリーさんはクレメンタインちゃんとご対面しました。クレメンタインちゃんはその日のうちに第212分署の一員になり、所属する消防士5人とすぐに意気投合。ASPCAの公式ウェブサイトによると、現在は分署内で生活しており、特注の屋外プレイエリアも作ってもらったそうです。出動やトレーニングにも参加しており、「地元分署の間ではちょっとしたセレブ」なのだとか。

「私たちが24時間勤務する中、クレメンタインは署を自宅のような雰囲気にしてくれるだけではなく、私たちを前向きにして、士気を高めてくれます。署に行くことを楽しくさせてくれる存在なのです」

 緊張とストレスが多い職場に大きな癒やしをもたらしているクレメンタインちゃん。その貢献が高く評価され、ASPCAの「2022人道アウォーズ」で「ドック・オブ・ザ・イヤー」に輝きました。

 ちなみに米国では先日も、消防署で活躍する犬が話題になりました。カリフォルニア州サリナスの消防署は、男の子の「クルーズ」くんを同署初のセラピー犬として“採用”。クレメンタインちゃんと同様に、消防士たちのストレスをやわらげる役割が期待されています。

(Hint-Pot編集部)