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キノコ類の根元“切りすぎ問題”を解決! 切り落とすべき部分を専門家に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚の代表格・キノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋の味覚の代表格・キノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 食欲の秋を迎え、エノキダケやシメジ、シイタケなどキノコ類もたくさん市場に出回っています。燃料価格の高騰や円安などで食品や飲料の値上げが続く中、比較的手頃な価格のキノコ類を大いに役立てていきたいところですよね。食品ロス削減の面からも無駄なくいただきたいと考えた時、迷ってしまうのが“石づき”問題。どこで切れば良いのか、明確な答えはあるのでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

キノコの石づきって何? 軸とは違うもの?

 キノコの栽培方法には、丸太に種菌を植え付ける「原木栽培」と、おがくずなどの培養地に種菌を接種して育てる「菌床栽培」があります。多くのキノコは、傘の部分と軸の部分からなり、石づきとはキノコが育つ際に原木や培養地に接していた軸の根元部分です。

 この石づきは食べない方が良いため、キノコを下処理する時に切り落とします。その主な理由は2つ。そもそも硬くて食べられないことと、原木栽培の場合は樹皮が、菌床栽培の場合はおがくずなどが混ざっている可能性があることです。

 ただし、どのキノコも軸と石づきの境目が特に明確ではないので、意外に軸の部分まで切り落としている場合があります。特にシイタケの軸部分にはうま味があり、おいしいところですから、石づきを切りすぎるとおいしい部分まで捨ててしまうことに。

 菌床栽培のマイタケやエリンギは、すべて可食部として売られているものもあります。もし先端の硬いところ、線が入っているところ、変色していて気になるところがあれば、その部分を切り落とす程度で良いでしょう。

 同じ菌床栽培でも、食べられるところまで切り落としているケースが多いのはエノキダケです。密集している軸の部分は焼くとおいしいのでもったいない! フードロスの観点からも食べられる部分を生かしていきましょう。

主なキノコ3種 石づきの部分はどこ?

 どこで切ったら良いか迷うエノキダケ、シイタケ、シメジについて解説します。

エノキダケ【写真:写真ACより編集部作成】
エノキダケ【写真:写真ACより編集部作成】

○エノキダケ
 エノキダケの石づきは、先端の茶色に変色した硬い部分だけです。その上の密集している部分は軸なので、捨てずに焼いて食べましょう。おがくずが付いていて気になる場合は、取り除きます。袋の上からカットするとバラバラになりにくく手軽です。

シイタケ【写真:写真ACより編集部作成】
シイタケ【写真:写真ACより編集部作成】

○シイタケ
 軸の先端、黒っぽくて硬い部分と軸の間に包丁を当てて切り落とします。軸の部分は硬い時もあるので、手で割いたり、繊維にそって包丁で縦に切ったりしておくとおいしくいただけるでしょう。食味構成要素を分析したところ、軸部分は傘部分よりもうま味や甘味成分が多いものもあるという結果もあります。

シメジ【写真:写真ACより編集部作成】
シメジ【写真:写真ACより編集部作成】

○シメジ
 先端の軸が密集して硬い部分が石づきです。まず手で小分けにすると、切りやすいでしょう。切り落としたら、軸の部分を手でほぐして調理します。

 いずれも覚えるのに難しい要素はないといえるでしょう。できるだけ捨てる部分を減らし、栄養も上手に摂取していきたいですね。

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(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾