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元米軍訓練機の中にまさかの“パイロット”!? 猫ファミリーの発見劇が米国で話題
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米ノースカロライナ州の航空博物館に鎮座しているかつての名機。そのコックピットに、意外すぎる“パイロット”の存在が確認されました。コックピットに住みついていたのは、何と野良猫のファミリー。博物館がその様子をフェイスブックで公開すると、「かわいらしい発見」と話題を集めています。
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母猫は少なくとも1年前から同館で生活
ノースカロライナ州といえば、ライト兄弟が初の動力飛行を行った地。その名残もあってか、同州には多数の航空博物館があります。今回話題になったのは、同州シャーロットから北西約90キロの距離にあるヒッコリー航空博物館でした。
この博物館では、ロッキード社製のT-33が野外展示されています。シューティングスターなどの愛称を持つ同機の初飛行は1948年。米国では1959年まで生産され、米海軍では1949年から訓練機として使用されたそうです。
そんな有名機の中からある日、何やら物音が聞こえてきたと報じたのは、地元紙「シャーロット・オブザーバー」でした。博物館の好奇心旺盛なスタッフは航空機の中を見ることに決めましたが、何も見えなかったそうです。しかしその後、撮影した写真をズームしてみたところ、「毛むくじゃらの驚きを目の当たりにした」のだとか。
「母猫と小さな頭が突き出しているのが見えたのです」と語るのは、同博物館のゼネラルマネージャー、ビュフォード・バーネットさん。母猫は少なくとも1年前から同館で生活しており、「ファントム」という名の地域猫として近隣住民からエサを与えられていました。
そして今回、コックピットで“極秘出産”した子猫は5匹。子猫は生後6週間から7週間とみられているそうです。
おびき出し作戦の末に猫ファミリーを保護
そこで同博物館のフェイスブックは、コックピットから外を眺めるキュートな猫の写真を公開。「雨、風、スズメバチ、鳥との戦いのみならず、ターミナルをさまよっていた猫がT-33で出産することを決めました。もしも子猫を探している人がいれば、開館中に申し出てください。これこそが屋内に飛行機を置くための博物館を建てる理由なのです」というメッセージを添えています。
とはいえ、「シャーロット・オブザーバー」の記事によると、この博物館はヒッコリー空港の一角に位置しており、事故を避けるためにさまざま罠が仕掛けられているそう。またT-33は屋外で展示されているため、猫ファミリーがコックピットを離れた場合は「飛行機、トラック、コヨーテ、鷹という危険要素が存在することを意味する」とも報じています。
そこで猫ファミリーの安全を確保しようと、動物保護団体が保護に動きました。ただし展示中のT-33はエンジンが取り外され、開口部が閉じられているため、体の大きな人間が中に入るのは困難。そこでエサで外におびき出す作戦が展開され、子猫のうち最後の1匹は10月27日に保護されました。
しかし、母猫は10月31日まで逃走を繰り返したそうです。動物保護団体のエリン・フックスさんは「彼女(母猫)は飛行機からジャンプして、エサを与えられるとトラップが作動する前にまたジャンプして逃げてしまうのです。あんなのは見たことがない」と、驚きのコメントを残しています。
現在は全員が無事保護された猫ファミリー。子猫たちは12月までに去勢手術を受け、里親の登場を待つことになります。また近隣住民は、母猫を去勢手術後に博物館へ戻すよう望んでいるそうです。
(Hint-Pot編集部)