からだ・美容
乳房全摘手術後の生活 乳がん治療中の39歳女性が公衆浴場で認知を広めたいこととは
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胸は再建せず…温泉やお風呂はどうしている?
手術を決めた当初から、胸の再建は考えていませんでした。あまりにも気になったり、生活で不都合が多かったりすれば考えるつもりでしたが、まったく支障がないので今も再建するつもりはありません。
私は胸を失った喪失感や手術痕を人に見られる恥ずかしさなどを感じず、むしろ自分としては「頑張ったという証」くらいに思っているので(笑)、銭湯も温泉もサウナも気にせずバンバン行っています。
とはいえ、真っ裸でオープンにさらしているわけではありません。右胸に手ぬぐいをふわっとかけて、あまり見えないようにしています。見られるのが嫌というよりは、周りの人を心配させたり驚かせたりしないようにという気持ちからです。
そんなの恥ずかしい、無理……という人もいると思いますが、今は傷跡を隠せる専用の入浴着もあります。私自身、実際に使った人から「とても便利だよ!」とおすすめされました。
自身もしくは周囲が手術を経験したから知っているという人や、公衆浴場などで啓蒙ポスターを見たことがあるという人もいるでしょう。しかし、まだまだ一般的な認知は足りず、時には「服を着たまま温泉!?」と思われてしまうこともあるそうです。
もしかしたら今後、私も使う機会があるかもしれないので、もっと広く知られるようになってほしいものです。
下着や服はどうしているの? まったく気にせず生活している人も多数
術後の下着は、準備していた「ボタン付きの前開きブラジャー」を使っていました。ワイヤーがなく、綿素材で摩擦が少ないものです。その後は、カップ付きキャミソールと交互に使うように。使い古してゴムが少しゆるくなったものは締め付けが少なく、とても重宝したので、捨てなくて良かったと思いました。
右胸に物理的な何かがないとゴムが上がってきたりするのかな、と思っていましたが、左胸がストッパーになっているのか、ずれることはありません。またブラのカップは中身がなくてもつぶれないので、体にぴったりした服を着ても、見た目では胸がないことがほぼ分からないと思います。
術前に使っていたブラもたまに使いますが、少し締め付けが強いため、今ではほとんどカップ付きキャミソールです。私は以前と変わらないものを使っていますが、下着にも乳がん患者向けに開発されたものがあるので、そういったものならより安心だと思います。
私は右胸だけの切除で、脇の下のリンパ節は切除していません。どこまで切除するかによって、術後動かせるようになるタイミング、体の可動域に個人差があると思います。胸がないことをどう感じるか……についても人それぞれの価値観によるものが大きいでしょう。そこで、私の話が一つの参考になればと思っています。
再建したいけれど何かの事情で難しい、できないという状況になっても、胸がないことをカバーしてくれる良い商品はたくさんあります。また、私のようにまったく気にせず生活している人も多くいるという事実を、どこかで思い出していただけたらうれしいです。
(島田 みゆ)
島田 みゆ(しまだ・みゆ)
1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン