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からだ・美容

「私は私で良かった」 乳がんで右胸全摘を経験した39歳 今後の人生に向けた思いとは

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

知識や経験、人との出会い…乳がんになって得られたこと

「キャンサーギフト」と言うとあまりにもきれいすぎるのですが、実際に「乳がんになったから得られた『もの』と『こと』」はたくさんあります。

 乳がんに関する知識、治療の経験はもちろんのこと、人との出会い、優しさや温かさ、親戚や家族、友人のありがたみや大切さ、絆の深まり。自分がいかに恵まれた環境にいるのか気づくことができました。

 そして一番大きかったのは、「私は私で良かった」と自分を認められるようになったことです。

 胸がなくなり、一時的には髪もなくなり、薬の副作用で体調がままならず、今まで当たり前のようにできていたことができなくなった時もありました。ただそうした治療の過程で、これまで抱えていた外見的・内面的な悩みや、人と比べて気にしていたいろいろなことが手放さざるを得なくなり、逆にこだわらなくなったのです。

「どうなろうと私は私でしかない。それならば、もっと自分で自分を大事にしなくちゃ」という思いが強くなったように感じています。

病気はいったん立ち止まって休むためのブレーキに

 私にとって病気になったことは、今までの生活や生き方、考え方を見直すために必要な出来事と時間だったのだと思います。「このまま走っていると危険だから、ちょっと待って」と、体が教えてくれたようにも感じているのです。

 きっと同じような人も多いのではないでしょうか? 仕事に、家事に、育児に、日々の生活に……走り続けていると、ちょっとした不調やいつもと違うところがあっても、つい「大丈夫」とないがしろに。また、本当に向き合わなければいけないことから目を背けて、見て見ぬふりをしてしまいがちです。

 でも、時には立ち止まって休んだり、見直したり、自分の心や体とゆっくりしっかり向き合うことも大切なのだと思います。

 この先もう二度と乳がんにならない、再発させないための決定的な策が分かればいいのですが、そればかりは難しい……。だからこそ、予防に良いといわれていることは積極的に取り入れながらも、“病気にならないため”だけに生きるのではなく、“自分なりに健康で楽しい人生”を目指して過ごしていきたいと思っています。

 今まで以上に毎日を大切に、やりたいことには貪欲に、「乳がん治療が終わる」その日を目指して。

(島田 みゆ)

島田 みゆ(しまだ・みゆ)

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン