Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

タワマンにあるパーティールームの実態 高い管理費用を嘆くマダムの訴えとは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

タワマンにある共有施設の一つ、パーティールーム(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タワマンにある共有施設の一つ、パーティールーム(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 タワーマンションの魅力の一つが、充実した共用施設です。中でもパーティールームは、居住者同士の親睦を深めるために使われるのはもちろん、子どもの誕生日パーティーやちょっとしたホームパーティーを開催するのに便利。住人であれば格安な料金でレンタルできることから、人気を集めています。そんなパーティールームにまつわるトラブルについて、東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む不動産のプロ、姉帯裕樹さんのアドバイスとともにお届けします。

 ◇ ◇ ◇

高い管理費を払っているのに借りられない!

 都内某所のタワマンで家族4人暮らしをしている柏木美子さん(仮名・38歳)。数年前に部屋を購入する際、夫からは「管理費や修繕積立金が高い」という理由で反対されました。しかし、眺望や立地の良さ、共用施設の充実ぶり、そして何より「他の人とは違う」という優越感が感じられるということから、半ば強引にそのマンションの購入を進めてしまったそうです。ところが、実際に住み始めて1つだけ不満があるといいます。

「パーティールームに人気が集まりすぎて、まったく利用できないんです。毎月何万円もの管理費を払っているのだから、年に1回くらいは使えるだろうと思っていたのに、引っ越してきてからというもの惨敗続きで……」

 コロナ禍ならチャンスがあるかも……と思い申し込みをしたものの、逆に外出自粛の影響でこの3年、週末をメインに予約が殺到。夏休みなら……と思っても、やはり週末は激混み状態で、結局使いたい日に使えず諦める日々が続いているといいます。

「夫に軽く愚痴ったら、『驚くほど高い管理費を払っているのに借りられないのか? こんなマンションに住む必要あったのか?』って返されてしまって。以後、夫にはマンションの愚痴を一切言えなくなってしまいました」

 不満が募った美子さんは、コンシェルジュに対し「何十回と申し込んでいるのに、一度も使えたことがないのはおかしいのでは?」と相談してみることに。すると「平日の昼間でしたら、比較的予約をお取りいただきやすいのですが……」と答えが返ってきました。

「のれんに腕押しだったので『働いているんだから、そんな時間に使えるわけないでしょ!』とつい口調が強くなってしまって……。以後、マンションのスタッフから、まるで腫れ物を触るかのような扱いを受けているんです。はぁ……できることなら引っ越したいです……」

実はタワマン“あるある” ひたすら応募するしかない?

 中目黒コレカライフ不動産の姉帯さんによると、「共用施設が使えない」という問題は、多くのタワマン物件で聞く悩みなのだそう。

 タワマンは、通常のマンションに比べて部屋数が多く、それに比例して住人数も増えるもの。例え話になりますが、1000人が暮らすマンションにパーティールームが1~2部屋ある程度では、すべての人の要求を満たすのは厳しいでしょう。

「ほとんどの方が月~金曜日に働いているので、金曜の夜、土曜の夜は予約でみっちりというタワマンが多いようです。パーティールームだけではなく、ゲスト用の部屋なども同様。美子さんがお住まいのタワマンは抽選制のようですが、早い者勝ちのところもあり、揉め事が起きやすいようです」

 美子さんの場合はすでに住んでいるため、あとはひたすら抽選に受かる日を待つしかないようです。しかし、これからタワマン購入を検討している人は、共用設備は「いつでも自由に使えるわけではない」ということを認識しておいた方が良いでしょう。

「売り手であるデベロッパー側は『パーティールームでお客さんを呼んで楽しめますよ!』なんて甘い言葉をささやきますが、実際のところは使いたい時に融通が利くとは限らないわけです。そのため『そういうものだ』と理解しておいた方が、後々イライラせずに済むと思います」

 タワマンの高額な管理費には、共用部分を運営する費用も含まれているので、美子さんのお怒りも納得ではありますが……。そうした不便さを楽しむことも、「タワマン住まいならでは」と思って割り切るしかないかもしれません。

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。