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見学なしのタワマン購入で「騙された!」 嘆くマダムに不動産のプロがピシャリ
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
1990年代後半から、人口集積地域にも増加したタワーマンション。令和の時代になった今、築20年以上を数えるタワマンも増えています。当然ながら、年月が過ぎると建物は老朽化していきますが、中にはトラブルに発展するケースも。コロナ禍のため見学なしで購入を決めてしまったマダムは、いざ現地を訪れて仰天してしまったのだとか。東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む不動産のプロ、姉帯裕樹さんのアドバイスとともにお届けします。
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築十数年、思った以上の老朽化にびっくり
「不動産屋に騙されたんです!」
険のある顔つきで語り始めたのは、都内某所のタワマンに住む林麗子さん(仮名・59歳)。一家で渋谷区の低層マンションに暮らしていましたが、長男に続いて次男が3年前の春に結婚で家を出たのを機に、夫と2人で憧れのタワマンライフを楽しむことにしました。
「あれこれ探して、どこも高くてなかなか手が出せずにいたのですが、ようやく『これ!』という物件が見つかったんです。コロナ禍で外に出たくなかったので現地には出向かず、不動産屋の担当さんとは電話とメールでやりとり。部屋や共用部分など物件の画像も送ってもらって、築十数年の物件でしたが写真で見てもきれいだし、問題ないだろうと思い契約しました」
それから1か月ほどかけて古い家を片付け、いざタワマンへ引っ越し。しかし、現地を訪れた麗子さんは思わず絶句してしまいました。
「すっごく、ボロかったんです!!」
不動産業者が送ってきたのは、どうやら新築当時の画像。部屋はリフォームできれいになっていましたが、共用部分では築十数年らしい経年劣化を感じたそうです。
「夫と2人でエントランスに立った瞬間、戸惑いを隠せませんでした。エントランスの待合ラウンジなど専有スペースを見て回ったのですが、どこも劣化が激しくて。待合ラウンジのソファなんて、昔はきれいなベルベットだったのでしょうが、今や毛羽立ってヨレヨレの状態。置いてあるクッションも偏ってクタクタです。
多目的に使えるというキッチン付きのラウンジも、何やら臭くて汚いんです。ステンレスはこすりすぎて傷が付いて、タイルの目地は黒くなっています。共用廊下の手すりもはげている部分があり、夫と2人で写真との違いにがっかりしてしまいました」
不動産業者に苦情を伝えると「写真は新築当時のものだと説明したはず」と言うのみだったそう。
「その写真が新築当時の写真だなんて、私は聞いていません。せめて誠意ある対応をしてほしいのですが……私たちが間違っているのでしょうか?」