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「ほぼカニ」個性的な名前を決めたのは社長だった カニカマ界でナンバー1の理由とは
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値上げラッシュが続いた2022年。お正月くらいは贅沢にカニを食べたいところですが、価格高騰の波は輸入のカニにも影響しています。そこで注目したいのが、まるで本物のカニのように口の中でほろっとほどけて、カニの風味がいっぱいに広がる「ほぼカニ」。この本格派カニ風味かまぼこはテレビ番組にも登場し、舌が肥えた多くの芸能人が本物と間違えたことでも有名です。開発に2年かかったという「ほぼカニ」の誕生秘話を、カネテツデリカフーズ株式会社(兵庫県神戸市)の広報、加藤諒子さんと荒井紅美さんに伺いました。
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世界一のカニカマを目指して始まった開発には予想外の壁が
カネテツデリカフーズは、創業96年を数える魚肉練り製品製造会社。そんな老舗企業の夏の売り上げを安定化させることを目的に、2012年から「ほぼカニ」の開発が始まりました。
「練り物はおでんやおせちなどで冬場のイメージが強く、夏場はニーズが落ちます。そこでサラダや冷やし中華などのトッピングとしてなじみがあるカニカマに注目しました。実はカニの代替を目指した製品は他メーカーからすでに販売されており、『ほぼカニ』は後発だったんです。そこでどこよりも本物に近い、世界一ズワイガニに近いカニ風味かまぼこを目指しました」(加藤さん)
当初は本物のカニをアミノ酸分析し、その数値に近づければすぐに開発できるだろうと考えられていました。ところが、数値的には近づいてもイメージするカニからはかけ離れ、素っ気ない味に。数値を参考にしながら、実際に食べて舌で感じる「カニらしいか」という感覚にも頼り、期待される「カニらしい味」を再現していきました。
その後、開発室でのテーブルテストをクリアしても、商品生産の合間を縫って行われた工場テストではイメージ通りの味になかなか仕上がらず。2014年3月の発売直前まで何度も微調整を繰り返しました。開発を担当した宮本裕志さん(現在は開発部部長)は、開発中にカニを食べすぎて「ほぼカニは食べたいけど、本物は一生食べたくない」と語るほどです。しかしその甲斐あって、発売から8年以上が経ってもオリジナルの味が守られています。