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積雪・凍結路面のノーマルタイヤ走行は法令違反 急な冬用タイヤ規制にどう対応する?
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積雪はドライバーにとって最も厄介な道路状況。「冬用タイヤ規制」や「チェーン規制」に困ってしまったというドライバーも多いでしょう。警察や道路の管理者、国が行うこうした規制や、各都道府県の公安委員会が定める滑り止めルールを破ると法令違反に。危険な事故を避けるためにも厳守すべき決まりです。そこで今回は、烏山自動車学校(栃木県那須烏山市)の教習指導員・小西隆さんに、冬用タイヤやチェーン、雪道走行時などについてのアドバイスを伺いました。
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最も注意すべきは速度と車間距離 4WDでもノーマルタイヤは危険?
雪道に慣れている地域のドライバーでも、大雪には入念な注意が必要。小西さんは最も注意すべきポイントとして、速度と車間距離を挙げます。
「車やタイヤの性能を過信せずに、速度を落として車間距離を十分に取ることが大切です。積雪路面を走行する時は、雪の中に縁石や溝などが隠れていることがあるので、轍部分を走行することが基本。ただし、深い轍はハンドルを取られたり、車体の底が当たったりすることがあるので、速度を出しすぎないようにしましょう」
都市部などでは、四輪駆動車(4WD)なら多少の積雪でもノーマルタイヤで大丈夫だと認識しているドライバーもいるようです。
「夏用タイヤを装着している場合はタイヤチェーンを携帯しておくと、万が一の積雪や凍結に対処することができます。平らな場所ではノーマルタイヤでも走行は可能ですが、上り坂やカーブでは4WDでもスリップすることが。また、積雪時の制動距離は駆動方法に関係なく、ノーマルタイヤの場合は大きく伸びます」
タイヤチェーンを取り付ける時は必ず車の駆動輪に
夏用タイヤでの走行中に降雪すると即法令違反になるわけではありませんが、すでに「冬用タイヤ規制」や「チェーン規制」が出ている場所では注意が必要。NEXCO中日本の公式ウェブサイトでは、規制の詳細を以下のように説明しています。
○冬用タイヤ規制:
四輪駆動車(4WD)を含め、冬用タイヤまたはタイヤチェーンなどの滑り止め装置を装着しないと走行できない(装着が必要な装置は各都道府県によって異なる)
○チェーン規制:
冬用タイヤでもタイヤチェーンを装着しなければ走行できない。大雪特別警報や「大雪に対する緊急発表」が出されるような時に行われる場合がある
いずれも厳守すべき規制ですが、小西さんによるとタイヤチェーンの取り付け方にも注意点があるそうです。
「タイヤチェーンを取り付ける時は、必ず車の駆動輪に装着しましょう。例えば、前輪駆動の車の後輪にタイヤチェーンを装着しても効果はありません。また、速度を出しすぎると走行中に外れたり、切れたりすることがあるので、取扱説明書に記載されている速度を守らなければなりません」
またスタッドレスタイヤを装着しても、積雪した路面ではスリップすることがあるそうです。やはり大切なのは、「車間距離と速度に注意し、急加速や急ブレーキ、急ハンドルなどがない運転」と小西さんは続けます。
中古のスタッドレスタイヤは効き目が低下している可能性も
「よし、装備を完璧にしよう!」と専門店に行っても、普段雪道に慣れていないドライバーは選択に迷ってしまうことも。そこで最後に、タイヤチェーンとスタッドレスタイヤを選ぶポイントを教えていただきました。
「タイヤチェーンは必ずタイヤサイズに合うもの選びます。安価な金属製か耐久性が高く静音性に優れた非金属製から、使用頻度などに応じて選ぶと良いでしょう。スタッドレスタイヤは夏用タイヤと同じサイズを。ただ、製造年数から4~5年以上経過している中古のスタッドレスタイヤは、効き目が低下している可能性があるので注意が必要です」
積雪時の安心・安全を高めるには、タイヤチェーンかスタッドレスタイヤの装着がベストな選択。うっかり法令違反にならないためにも、車に乗る際は道路情報をしっかり確認しておきましょう。
(Hint-Pot編集部)