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「職人技ってすごい」 木で書いた文字の驚きの仕掛け 制作過程を作者に聞いた

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著者:Hint-Pot編集部

すべて1枚の木材からできているとは思えない「木で書いた桧」(画像はスクリーンショット)
すべて1枚の木材からできているとは思えない「木で書いた桧」(画像はスクリーンショット)

 習字といえば、半紙に筆で文字を書くのが一般的ですが、すべて木を使った斬新な習字を披露した動画が話題になっています。投稿主は、木彫アーティストのキボリノコンノ(@kibori_no_konno)さん。制作過程を動画に収めてSNSに投稿したところ、6万件以上の“いいね”が集まっています。制作のきっかけやこだわりのポイントなど、詳しいお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

紙も筆も木から制作 こだわり抜いた作品

「木で文字を書いてみたよ。」のメッセージ付きで投稿された動画は、半紙に筆で「桧」の文字を書くところから始まります。紙に書かれた桧の文字は、木目のインクで書かれたような独特の色合い。少し浮き出て見えるので、何とも不思議な仕上がりです。一体どうなっているのでしょうか?

 答えは、続いて流れる制作過程で分かります。実は、これはすべて木からできたもの。半紙も文字も筆も文鎮も、1枚のヒノキの木材から彫り出して作られています。

 ツイッター上にこの力作が動画で公開されると、6万件以上の“いいね”が集まり大きな話題に。リプライ(返信)には、「半紙が透けて(溶けて?)木が見えているのかと……」「メイキング見るまで筆は本物だと思ってました。キボリノコンノさんの作品は毎回びっくり放題!」「あ、え! 全部木!? てっきり木っぽい絵の具みたいな何かかと……。職人技ってすごい……」「半紙のヨレ具合とか、筆を当てて完成するっていう構図とか、筆も木だし、もう何か、いろいろすげぇよ……」など、本物そっくりの質感とこだわりの繊細な制作過程に驚きの声が続出しています。

制作者に聞いた きっかけとこだわり

 キボリノコンノさんに、作品誕生までの詳細を伺いました。

Q. この作品を作ろうと思ったきっかけは?
「新作を作ろうと考えていた時に、母から『習字を表現してみたら?』というメールが届いたのがきっかけです。今まで食べ物ばかり作っていたので、『習字』というテーマがとても新鮮に感じ、挑戦してみようと思いました」

Q. なぜ文字を「桧」にしたのでしょうか?
「今回使った木がヒノキであったことに加え、文字の最後の一画をあえて書かずに、木彫りの筆を置くことで完成させたいと思ったので、『桧』の文字を選びました」

Q. 分厚い板から半紙と文字を作る工程について教えてください。
「厚さ3センチほどの板から、半紙の部分を残して周りを6ミリ彫り下げます。次に、半紙になる部分の平らな面に、彫刻刀や電動のサンダーを使って半紙のヨレやシワを彫刻します。さらに、『桧』の文字を浮き上がらせるため文字以外の部分を彫刻刀、サンダー、ルーターを使って2ミリほど彫り下げます。半紙の断面を彫刻刀で斜めに彫り込み、半紙の薄さを表現します。最後に文字の部分にミツロウを塗って木目を際立たせ、半紙部分を白い絵の具で塗って完成です。筆、文鎮も木で作っています」

Q. 一番こだわった点と難しかった点を教えてください。
「木の土台に薄い半紙がのっているかのように1枚の板で表現できたら面白いなと思い、土台から半紙、文字までを1枚の板を彫刻して表現することにこだわりました。『桧』の文字を残して周りをきれいに彫り下げるのがとても難しかったです」

 キボリノコンノさんは、1月25日(水)~31日(火)に遠鉄百貨店(静岡県浜松市)で、2月18日(土)~3月2日(木)に画人画廊(大阪府大阪市中央区心斎橋)で展示会を開催(いずれも入場料無料)。「え、これが木?」と、あっと驚く世界観に触れられることでしょう。

(Hint-Pot編集部)