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娘の色鉛筆にまさかの彫刻 仏師のこだわり詰まったいたずらが大反響 「私のも彫って」
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新たな生活が始まる4月。子どもの入学や進級に備え、持ち物を新調することも増える時期です。その中で、親にとって欠かせない作業が持ち物の「名入れ」。さまざまな工夫を凝らして名前を書き入れていきますが、「凝りすぎてしまった」お父さんの作品がSNS上で話題になっています。一体、どんな思いが込められていたのでしょうか。制作者で仏像彫刻を手がける仏師でもある宮本我休(@Gakyu_Miyamoto)さんにお話を伺いました。
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仏師として「いたずら心がムズムズ」 1時間で驚きの“作品”が完成
京都で仏像や仏具、木彫刻作品の制作を手掛ける仏師の宮本さん。「京仏師」として活動しながら、息子さんと娘さんを育てるお父さんです。
そんな宮本さんは、配偶者さんからあることを頼まれました。それは、保育園に通う娘さんが使う色鉛筆に名前を入れるため、鉛筆の後ろの一部を削るという作業。普段から木を削り作品を作って宮本さんにとっては簡単なことですが、色鉛筆を見て「いたずら心がムズムズと」したそうです。
名入れのため鉛筆のおしりにあたる部分の一面を平らに削っただけでは飽き足らず、その反対側の一面にもひと細工。小さなお地蔵様を彫り込んだのです。箱に入った色鉛筆は名前が見える形で収納されていますが、くるりと半回転させるとお地蔵様が顔を出します。
これを「休憩時間の1時間くらいで」仕上げた宮本さん。回転させてお地蔵様が姿を見せる動画に「彫刻家の父を持つとこうなるんだよ」とのメッセージを添えてツイッターで公開しました。すると、何と17.3万件の“いいね”が集まり、動画の再生回数も223万回超に。
リプライ(返信)には「小さな仏様にニッコリした」「お父さん勝負に出たな」「素敵なサプライズ」「遊び心満載。うらやましいな」と多くの称賛の声が寄せられました。また「私のも彫って」「名前なくても誰も間違えない」といった声や「子どもさんの持ち物に子どもを守る地蔵尊、素敵です」と意味深さに感動した声も寄せられています。
ちなみに、この動画を公開したのは娘さんへのお披露目前でした。翌日には、朝にこの色鉛筆を見た娘さんの反応も投稿されています。「Hint-Pot」の取材でも「めちゃめちゃ喜んでもらえました!」と宮本さんも大喜び。「子育てに正解はないと思っていますが、自分なりの愛情表現で大切に育てていってあげたいと思います」と語っています。
息子さんの色鉛筆にも「大黒様」が 子どもへの愛情から“わらべ仏”も制作
娘さんを笑顔にさせた宮本さんのいたずら。実は以前にも息子さんに同じことを依頼され、その時は大黒様を彫りました。しかし、息子さんはそれをうっかり削ってしまったそう。
「もう一度彫ってほしいとせがまれたのですが、忙しくて叶えてやれなかったんです。娘にもこの色鉛筆を通じて父親の仕事を感じてもらえるといいなと思っています。私は親が役人だったため、日頃どういった仕事をしているかを感じることなく育ち、大人になって知りたかったという後悔があるんですよ」
子どもたちへの愛情は尽きない宮本さん。「何か形に残したい」との思いから、お子さんたちをモデルにした“わらべ仏”も作っています。
「わらべ仏は子どもにプレゼントしたものではありませんが、子どもがかわいくて仕方なく、何か形に残したいと思い制作したものです。それからこれまで、さまざまなわらべ仏を制作販売させていただきました。完全受注制作ではありますが購入可能です」