からだ・美容
「チョコレートを食べすぎると鼻血が出る」説は本当か 適正量とおすすめの食べ方を医師が解説
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教えてくれた人:鈴木 香奈
バレンタインデーが近づくにつれ、「チョコレート」という単語を目にする機会が増えます。一年で一番よくチョコレートを食べる時期という人も多いでしょう。そんな時、頭によぎるのは「チョコレートを食べすぎると鼻血が出る」という説。多くの人が一度は耳にしたことがあるこの説に、医学的な根拠はあるのでしょうか。チョコレートの正しい摂取量などについて、耳鼻咽喉科・アレルギー科の鈴木香奈先生が解説します。
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医学的エビデンスはないものの可能性は否定できない
「チョコレートを食べすぎると鼻血が出る」という説があります。結論から言うと、チョコレートと鼻血の因果関係を示す医学的な報告はありません。しかし、チョコレートには血流を良くするポリフェノールやテオブロミンが含まれており、食べると一時的に毛細血管が刺激されて鼻血が出る可能性は否定できません。体質によっては注意が必要でしょう。
もしも鼻血が出た時には慌てず、座位で小鼻の根本をつまみ、そのまま20分間押さえ続けてください。出血している状態で上を向くと、のどに血が流れて嘔吐や誤嚥の原因になることも。そのため、やや前屈みで行うことも大切です。それを2セット続けても出血が止まらなければ救急車を呼んでください。たかが鼻血と考えていると、命を落とすこともあります。
鼻血が止まってもしばらくは安静にし、鼻を直接触らないようにしましょう。かさぶたがはがれて再び出血する恐れがあるためです。
1日の摂取量は5~10グラム 食べすぎにはご注意を
また、「チョコレートは食べすぎるとニキビができやすくなる」という説も。チョコレートは種類によって、砂糖や脂質が多く含まれます。脂質や糖分を摂ると皮脂が分泌されるため、食べすぎると皮脂の分泌も増加。そうして増えた皮脂が毛穴に詰まり、ニキビができるといわれているのでしょう。
チョコレートで生活習慣病改善や健康効果を得るには、1日に5~10グラム(1~2片、20~40キロカロリー)程度を食べるのが良いといわれています。幼児がおやつで食べるのであれば、1~3片(20~60キロカロリー)程度がおすすめです。しかし、市販の板チョコレートは1枚あたり280キロカロリーと高カロリー。間食の目安は1日の総摂取カロリー量の10~15%が推奨されています。
バレンタインデーにチョコレートをもらった際など、おいしくてついつい1箱食べてしまうことがありますが、食べすぎにはご注意を。一度で一気に食べず、少しずつ分けて食べるといいでしょう。
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールという成分には抗酸化作用があり、動脈硬化予防などが期待できます。しかし、水溶性の成分のため、少量を分けて食べた方が効果は持続しますよ。
(Hint-Pot編集部)
鈴木 香奈(すずき・かな)
金沢駅前ぐっすりクリニック院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。1996年、金沢医科大学卒業。睡眠時無呼吸症候群を核に一般耳鼻咽喉科診療を行う。