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「そんな連中は競馬ファンじゃない」 許可のない立ち入りは禁止 人気引退馬牧場が注意喚起
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人気ゲーム「ウマ娘」のヒットで、競馬ファンの裾野は広がりを見せています。楽しみ方のひとつとして、かつてのレジェンド馬が余生を過ごす引退馬牧場を訪ねる人も増加。しかし、一部のファンがマナー違反をし、牧場に迷惑をかけるケースも増えているようです。引退馬の生涯を支援する「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」(北海道沙流郡日高町)の代表取締役の岩崎崇文さんが現状を話してくれました。
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外部から来た人がウイルスを持ち込んで大変な事態に陥ることも…
同牧場がある北海道沙流郡日高町や周辺には、さまざまな牧場が点在しています。その近隣の牧場から、牧場内で不審者を発見したという連絡が岩崎さんのもとに届いたそうです。
「うち(Yogiboヴェルサイユリゾートファーム)から5キロの距離にある牧場から2日前に連絡がありました。無許可で牧場内に侵入し、車で厩舎の前まで入ってきたそうです」
不法侵入は言語道断。さらに、岩崎さんら牧場関係者が特にナーバスになっているのには、春先は馬にとって非常に大事な時期であることも関係しています。
「今、生産牧場は非常にデリケートな時期です。1月から遅いところでは5月頃まで馬の出産時期が続きます。うちの牧場でも最近、一頭生まれました。しかし、外部から来た人の足に付着した馬鼻肺炎ウイルス(ERV)が厩舎及び牧場敷地内に入ってしまうと大変な事態に陥ってしまいます。人のみならず、他の感染地を経由したカラスやキツネからうってしまうケースもあるんです」
ERVは感染すると、発熱や鼻汁の漏出、下顎リンパ節の腫大といった症状が現れるほか、妊娠馬においては妊娠後期に突然流産を起こすなど、馬のお産に危険な影響をもたらすそうです。
「うちでも5年ぐらい前に、ERVが原因で3頭の牝馬が流産するという忘れられない過去があります。一頭が感染してしまい、厩舎にいる妊娠中の全頭が流れてしまうというケースもありました。そのため今の時期、妊娠中の馬はできるだけ外部と接触しないようにさせています。生産牧場にとっては一頭一頭の出産が死活問題。次の年の収入がなくなってしまうこともあり得るんです」
岩崎さんによると、お産シーズンはスタッフの担当場所は完全に区分し、牧場に新たにやってきた馬は別の厩舎で飼育するなど、生産牧場ではERVの感染防止対策を徹底しているそうです。