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二十四節気「雨水」の意味と読み方 2023年はいつ? ひな人形で良縁の理由

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

山の雪が解け始める頃(写真はイメージ)【写真:写真AC】
山の雪が解け始める頃(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「雨水(うすい)」とは、季節の変化を知る目安としてきた二十四節気のひとつ。冷たい雪が温かい雨へと変わる頃で、農耕の準備を始める目安とされてきました。2023年の雨水はいつからいつまでなのでしょうか。春の足音を感じる習わしや食べ物について解説します。

 ◇ ◇ ◇

    目次

  1. 雨水とは 二十四節気での意味と読み方
  2. 2023年の雨水はいつ
  3. 雨水の時期の習わし
  4. 雨水の七十二候 季節の移り変わり
  5. 雨水の頃の食べ物

雨水とは 二十四節気での意味と読み方

 二十四節気のひとつである「雨水」は、「うすい」と読みます。「あまみず」ではありません。二十四節気とは、太陽の動きに合わせて1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにその季節それぞれを6つに分けたもの。全部で24あり、古くより季節を感じる目安として用いられてきました。二十四節気は立春から始まり、雨水は2つ目の節気です。

 この季節は、山に積もった雪がゆっくりと解けて、田畑を潤していきます。春本番はまだ先ですが、しだいに暖かさを感じる時期です。雨水の次は、冬ごもりしていた虫たちが動き始める「啓蟄(けいちつ)」となります。

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2023年の雨水はいつ

 2023年の雨水は、2月19日(日)~3月5日(日)です。雨水は農耕を始める時期の目安。寒い日が続いたかと思うと春めいた暖かい日が続く「三寒四温」を繰り返しながら、春に近づいていきます。三寒四温は、もとは中国の北東部などで用いられ、本来は冬の気候を指しますが、日本では春先である雨水の頃の天気に使われています。

雨水の時期の習わし

 雨水の時期は、春を感じる習わしがあります。

○春一番

立春から春分の間に初めて吹く南寄りの強風(写真はイメージ)【写真:写真AC】
立春から春分の間に初めて吹く南寄りの強風(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 立春(2023年は2月4日)から春分(2023年は3月21日)の間に、初めて吹く南寄りの温かい強い風を「春一番」と呼びます。地域によって条件がやや異なりますが、雨水の頃に吹くことが多く、その日は気温が上昇します。春の訪れを感じる風ではありますが、海難事故など警戒を必要とする風でもあります。

○ひな人形

ひな祭りに欠かせないひな人形(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ひな祭りに欠かせないひな人形(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もともとは紙やわらで作った人形を川や海に流して無病息災を祈願する風習が由来しているため、水に関係する雨水の時期に飾るのが良いといわれます。雪が解けて川の水が豊かになるこの時期にひな人形を飾ると、「良縁に恵まれる」との伝承も。前日に飾るのは「一夜飾り」となるので避けたほうが良いでしょう。

○桃の節句

桃の花(写真はイメージ)【写真:写真AC】
桃の花(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 五節句のひとつ。古代中国では「上巳(じょうし)の節句」として、3月の「巳(み)」の日に水辺で体を清めて宴会をし、災いや厄を祓う習わしがありました。日本に伝来すると、無病息災を祈願して人形を川や海に流す行事と合わさり、やがてひな人形を飾って女児の健やかな成長を願うひな祭りをする風習が広まったとされています。古来、桃は神聖なものとして用いられ、旧暦の3月3日は桃の花期。そのため「桃の節句」と言われます。

雨水の七十二候 季節の移り変わり

春の息吹を感じる頃(写真はイメージ)【写真:写真AC】
春の息吹を感じる頃(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 二十四節気の節気(約15日間)を、さらに3つ(約5日間)に分けた季節の目安を「七十二候」と言います。日本特有の季節の移り変わりを感じ取ることができる、古来伝わる区分です。雨水の七十二候を見てみましょう。

○初候 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

 2月19日頃。春の雨や雪解けの水で土が湿って潤い始める頃です。「脉」とは、「脈」の俗字。春本番はまだ先ですが、寒さもゆるみ始めます。

○次候 霞始靆(かすみはじめてたなびく)

 2月24日頃。春の霧を霞と言います。霧やもやで遠くの野山の景色がうっすら見えては消える移ろいの頃。夜の霞は朧(おぼろ)と呼びます。

○末候 草木萌動(そうもくめばえいずる)

 3月1日頃。しだいにやわらぐ春の日差しの中、潤った土から新芽が見え始める頃です。春らしい命の息吹を感じます。

雨水の頃の食べ物

 春の息吹や慶びを感じる食べ物があります。

○ワラビ、ゼンマイ

芽吹く山菜(写真はイメージ)【写真:写真AC】
芽吹く山菜(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 山菜が芽を出します。山菜そばに欠かせないワラビは煮物や和え物などに。ゼンマイは若芽を天ぷらやみそ和えなどにして食べます。どちらもアクが強いのでアク抜きをします。

○菜の花

栄養たっぷり菜の花のおひたし(写真はイメージ)【写真:写真AC】
栄養たっぷり菜の花のおひたし(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 菜花。独特のほろ苦さが特徴の、鮮やかな緑の葉がやわらかい緑黄色野菜です。βカロテンが豊富で、ビタミンCやカルシウムも含みます。

○ハマグリ

ハマグリのお吸い物(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ハマグリのお吸い物(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ひな祭りや結婚式に欠かせない食材。2枚の貝殻は対のもの以外しか合わないことから、夫婦和合の象徴とされ、慶事の食材になりました。兵刃時代には「貝合わせ」の遊びも。

【参考】
「365日を豊かに過ごす 日本の四季、二十四節気、七十二候」(宝島社)
「にっぽんの七十二候」(エイ出版社、エイはきへんに「世」)
「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候」水野久美書(KADOKAWA)
「日本のしきたりがまるごとわかる本」新谷尚紀監修(晋遊舎)
国立天文台サイト「暦Wiki」七十二候

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu