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あわや車内出産に 猛吹雪のなか80キロ先の病院を目指した米国在住の夫婦 子どもの名前にほっこり
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記録的な冬の嵐に襲われた米カリフォルニア州。約1.2メートルもの雪が降り積もる猛吹雪のなか、1人の妊婦の陣痛が始まりました。視界不良で命がけのドライブ中には、さまざまな決断を迫られます。誕生した女の子には生まれた日にぴったりの愛らしいお名前が授けられたそうで、米国で注目を集めています。
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妊娠9か月 大雪のなか心配していた事態に…
標高3500メートル、「南カリフォルニアのアルプス」と呼ばれるサンバーナーディーノ山脈にあるレイク・アローヘッドの湖畔で、ブレイディ・ウェイドさんとクリスタルさん一家は暮らしています。先月末、カリフォルニア州を大雪が襲った際、クリスタルさんは妊娠9か月でした。雪予報を知ったブレイディさんは、もしものときに山から降りられるかを非常に心配しましたが、必須救急作業員のため吹雪のなか職場にいなければなりませんでした。そうした事態が起こっても無事に病院へたどり着けるようにと、祈ることしかできなかったそうです。
そんななか、ブレイディさんがまだ職場にいた現地時間23日の午後8時頃、クリスタルさんの陣痛が始まります。しかも、陣痛はすでに10分間隔。クリスタルさんは身の回りの準備をすぐに始め、一方のブレイディさんは自宅近くまで車で戻ると、身動きが取れなくなる可能性を考慮し、4ブロック先に車を停めました。
すぐにでも病院に向かいたい状況ですが、夫妻には長男のブレーデンくんがいます。病院までは何が起こるか分からない雪道を行くため、夫妻はブレーデンくんを友人へ預けることに。友人は吹雪のなか、ギリギリのタイミングで1マイル先までブレーデンくんを迎えにきてくれました。
除雪されていない山道 強くなっていく陣痛
ブレーデンくんを預けた夫妻は、容赦なく吹き付ける大雪のなか、少し先に停めてある車まで歩き始めます。クリスタルさんは米テレビ局NBCの朝番組「トゥデイ」電子版に対し、「外にいるのが苦痛でした。目も見えないほどで、目を閉じなければならないし、雪が顔を打ちました」と振り返っています。
その後、どうにか車に乗り込んだ夫妻を待っていたのは、さらに過酷なドライブでした。除雪されていないでこぼこの路面は、クリスタルさんの陣痛の痛みをさらに激しくさせます。山の中腹では携帯電話の電波が届かないため、このとき陣痛が5分間隔になっていたクリスタルさんは痛みに耐えながら「もしもこの子が車で生まれてしまったら、携帯電話の電波が届くといいな」と考えていたといいます。
病院までは、雪がなくても80キロ以上の距離。途中、医療施設らしき消防署を通りかかり、立ち寄るか病院を目指すかの決断を迫られましたが、夫妻は病院へ行くことに。ギリギリの決断でしたが、2人は無事に山を下り、病院に飛び込みました。
生まれた子の首にはへその緒が その後ウィンターちゃんと命名
病院に到着したとき、クリスタルさんの子宮口は8センチまで開いていたそう。そして24日午前5時頃、待望の女の子が誕生しました。生まれたとき、赤ちゃんの首にはへその緒が巻き付いており、クリスタルさんは病院にいたことを心底感謝したと語っています。こうして大雪の日に無事生まれた赤ちゃんには、「ウィンター」ちゃんという愛らしい名前が授けられました。
ちなみに、この2日後に退院が許可された夫妻には、またしても大きな苦労が待っていました。約2.4メートルも積み上げられた雪の壁の間を通り抜け、いつもの倍以上の時間をかけてブレーデンくんを預けている友人宅を目指したそう。友人宅では食料が不足しており、どうしても向かう必要があったのです。
どうにか山の上まで車を走らせましたが立ち往生してしまい、そこからはウィンターちゃんをジャケットに包んで夫婦で歩くことに。出産2日目とは思えない過酷な状況を乗り越え、クリスタルさんはようやく帰宅したそうです。このニュースについてツイッター上では「絶対に怖かっただろうに」など驚きの声が上がりました。
(Hint-Pot編集部)