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「異性の子どもがトイレに入ってくる」何歳まで許容? 就学前までが多数、専門家の見解は
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子どもの“1人トイレ”でのトラブルには性犯罪も プロの見解
アンケートでは、公衆トイレで事故や犯罪といったトラブルに巻き込まれたことがあるかも問いました。「ない」と答えたのは98%と大多数。一方「ある」と答えた2%のうちの自由回答では、「カギが開かなくなった」というトラブル以外に、性犯罪の被害に遭ったというコメントが複数見られました。
公衆トイレに子ども1人で行かせる際、防犯の視点は大切になっていくでしょう。そこで、これまでに世界100か国以上のトイレや公園などを分析するなど犯罪学研究を専門とする、立正大学文学部社会学科教授の小宮信夫さんに話を伺いました。
――子どもが1人で公衆トイレを使用する際、巻き込まれるトラブルとしてもっとも多いことはなんでしょうか?
「性被害です。とくに女児のほうが性被害に遭う確率は高いでしょう。研究結果から、犯罪が起きやすいのは『入りやすく見えにくい場所』であることがわかっています。日本の公衆トイレは、そういった犯罪が起こりやすい条件が揃っていると言えるでしょう」
――どういった例があるのでしょうか?
「トイレで発生した重大事件として、2011年に熊本市内のスーパーマーケットのトイレで女児が殺害された事件が挙げられます。この事件現場も『見えにくい場所』でした。トイレは奥まった場所にあり、店員や買い物客から見えにくい構造になっています。また、犯罪を防ぐためには『物理的な見えにくさ』だけでなく、『心理的な見えにくさ』をなくすことも大切です」
――「心理的な見えにくさ」とは?
「スーパーでは、親は『誰かがうちの子を見てくれている』と思いがちになり、1人でトイレに行かせることもあります。しかし実際には『うちの子』を誰も見ておらず、仮に犯行に気づいても、人が多い場所では犯行が制止されたり、通報されたりする可能性がほとんどありません。なぜなら、『たくさんの人が見ているから、自分でなくても誰かが行動を起こすはず』と思って、制止や通報を控えるから。その場に居合わせた全員がそう思うので、結局誰も行動を起こさないことが多いのです。さらに、誰も行動を起こさない周囲の様子を見ると、今度は深刻な事態ではないと判断してしまいます。こうした心理は『傍観者効果』と呼ばれています」
――防犯カメラがあっても難しいことはあるのでしょうか?
「熊本の事件では、スーパーに防犯カメラが10台も設置されていました。しかし、犯人の大学生は店内で4時間も女児を物色していたのです。なぜなら、犯人は、最後まで騙し通せると思っており、結果、犯行は発覚しないと考えていたからです。防犯カメラが怖いのは、犯行が発覚するかもしれないとビクビクしている犯罪者だけなのです。女児が被害を受けていると気づかなければ、犯行は発覚しないので、その自信がある犯罪者にとって防犯カメラは抑止力になりません」