からだ・美容
花見宴会が解禁 飲みすぎや思わぬ事故には要注意 医師が解説
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教えてくれた人:佐藤 留美
コロナ禍4年目の今春、東京都は都立公園での宴会の自粛を求めないことを発表するなど、全国的に花見に伴う飲食・飲酒制限を緩和する地域が増えています。久々の花見とあって羽目をはずしすぎると、思わぬ病気やけがにつながることも。そこで、朝倉医師会病院呼吸器科部長の佐藤留美医師に、花見の席での注意点を解説していただきました。
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二日酔いになりにくい飲み方のポイントは
花見の宴会でまず懸念されるのが、お酒の飲みすぎです。せっかく美しい桜の下で会話を楽しんでも、次の日に覚えていないほど飲んでしまったら損! 佐藤先生によると、二日酔いにならないためには、飲み方を工夫すると良いそうです。
【二日酔いになりにくい飲み方3つのポイント】
・飲み会前に水分摂取を行い、軽食を取っておく
・飲酒中は水などのノンアルコール飲料と交互に飲む
・飲酒中もしっかりと食事を取る
「脱水や空腹状態で飲酒すると、酔いが早く回ってしまいます。飲み会前の水分摂取として、牛乳がおすすめです。牛乳には脂肪分が含まれていて、その脂肪分が胃の粘膜を覆うバリアになるので、アルコールの吸収を遅らせて二日酔い予防になります。牛乳以外の飲み物では、ウコンなどの栄養ドリンクもおすすめ。また、軽食は同じく乳製品のチーズが良いでしょう。二日酔い予防策としては、やはり飲みすぎないようにすることが肝要です」
急性アルコール中毒の症状と応急処置
お酒を飲みすぎて起こる事故として、とくに若い世代に多いのが急性アルコール中毒です。東京消防庁の発表によると、2019(令和元)年中に急性アルコール中毒で救急搬送された20代はなんと8802人。お酒に飲み慣れていない人が多く、短時間に多量のお酒を飲むことが原因です。もちろん、ほかの世代もゼロではありません。2番目に多いのは30代の2632人、3番目が60代以上で2622人となっています。年齢にかかわらず、飲みすぎないことを心がけましょう。
【急性アルコール中毒の主な症状】
吐き気、嘔吐、頭痛、動悸、気分不良、血圧低下、低体温、呼吸回数低下、意識障害、昏睡、失禁など
佐藤先生は、上記の症状が少しでも現れれば早めに警戒しておくべきだと注意喚起しています。もしも、危険な症状を確認したら、応急処置として次のことを行ってください。
【急性アルコール中毒の応急処置】
・1人にせずに必ず誰かが付き添う
・回復体位にさせる
・ネクタイやベルトなど、体を締め付けるものをしている場合は、それらをはずして衣服をゆるめる
・急性アルコール中毒になると低体温になるため、毛布や上着などをかけて体を温める
・意識がある場合は、横になった状態ではなく、必ず体を起こして水分摂取をさせる
・意識がない場合は、無理に水分を経口で摂取させない
※回復体位とは、患者を横向きに寝かせて、下アゴを前に出し気道を確保すること。両肘を曲げて、上側の手の甲だけを顔の下に入れる。上側の膝を90度曲げて、後ろに倒れないようにする