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急性アル中に餅の窒息事故…年末年始は要注意! “美魔女”医師が教える急な病気・ケガの心構え
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新型コロナウイルスの感染再拡大により「GoToトラベル」が全国一律で停止となるなど、例年とは違った様相の年末年始。医療崩壊の可能性も囁かれる中、救急外来の現場はどのような年越しを迎えるのでしょうか。そこで今回は、モデル&経営者という華々しいキャリアを経て30代で医学部入学。在学中はレースクイーンとしても活動し、現在は内科医としてメディアに多数登場している近藤千種先生にお話をお伺いしました。
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急性アル中に急性膵炎、ヒートショック…年末年始も危険はたくさん
年末年始の当直経験もある医療法人豊隆会ちくさ病院の近藤千種先生。例年であれば帰省や旅行など、何かと気の緩みがちな時期だけに、特に増えるのが“お酒絡みの急患”だと語る。
「忘年会や新年会での急性アルコール中毒は毎年後を絶ちません。クリスマスを過ぎて仕事納めを迎えてからは特に多くなる印象ですね。お酒や脂モノの過剰摂取からなる急性膵炎もあります。急性膵炎は“お腹の火事”とも言われる激痛で、みぞおちと背中に痛みが出るのが特徴。違和感を感じたらなるべく早く医療機関を受診するのが賢明です」
また、年末年始に関わらず冬場に起こりやすいのが、暖かいところから急に寒いところへ出たときに起こるヒートショック。特に風呂場から出る際の脱衣所に要注意で、急激な血圧の変動から急性心筋梗塞などの心不全を引き起こす。高齢者がいる家庭では特に注意が必要だ。
餅をのどに詰まらせる窒息事故 覚えておきたい対処法
正月には餅をのどに詰まらせる窒息事故も例年頻発している。近藤先生によると、これは初動が何よりも肝心だという。
「心肺停止のリスクは呼吸が止まって3~5分で急激に高まりますが、救急要請をして救急車が到着するまで平均で8分かかると言われています。病院まで搬送されて後遺症が残らないケースは到着するまでに異物が除去されている場合がほとんどで、逆に言えば詰まったまま病院についても多くの場合は手遅れ。まずはその場にいる人の処置が重要です」
では、仮に目の前で家族がのどに餅を詰まらせた場合、どのような対処法が適切なのか。
「背中を叩く『背部叩打法』は有効です。患者の胸から下あごにかけて支えながら起こし、もう片方の手で左右の肩甲骨の間を強く叩く。力加減はかなり強く叩いても大丈夫です。背後からお腹を抱えて突き上げる『腹部突き上げ法』もありますが、これは妊婦や乳児には使えず、慣れない方がやると内臓損傷のリスクもあるためおすすめしません。救急車が来るまで意識がなければ心臓マッサージも始めたほうがいいでしょう。肺が圧迫され、空気と一緒に異物が出てくることもあります」
一方で、一般的に知られる掃除機で吸うという処置については、あくまでも最終手段だという。
「ノズルをどこまで入れればいいかが難しく、奥に入れる前にスイッチを入れると舌を吸ってしまい逆効果です。衛生的でもないですし、あまりお勧めはできません」