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からだ・美容

子どもの整形は親子間の話し合いが大切 外見だけでなく心にフォーカスを合わせて

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

なぜ美容整形をしたいのか 子どもの気持ちに耳を傾けること

「二重にしたい」「鼻を高くしたい」など整形をしたいと子どもが言い出す場合、何かしらの理由があるはずです。頭ごなしにダメと否定するのではなく、なぜ整形をしたいのかをしっかりと聞いてあげてください。

 単に憧れのアイドルに近づきたい、もっとかわいくなりたい、周りがやっているから私も、といった理由で整形をしたがる子どももいます。しかし、今流行のアイドルも数年後にはいなくなっているかもしれませんし、「かわいい」の基準も日々変化しています。流行りの顔になるように美容整形しても、数年後には流行りではなくなっているかもしれません。

 後悔させないためにも、「成長して大人になれば顔は変わるものだし、もっときれいになるかもしれない」と、いったん思いとどまるように説得するほうが良いでしょう。

 二重にする埋没法はリスクが少なく、美容整形のなかではハードルが低く気軽な気持ちで来院する方もいますが、思春期のうちはどんどん顔も変わり、一重から二重になるケースもあるので、大人になるまで待っても遅くはないと思います。

 当院へ相談に来るケースでは、容姿をからかわれ心に傷を負ったお子さんたちもいます。学校に行きたくない、クラスメイトの輪の中に入れないなど悩み苦しみ、解決策として整形をしたいという場合もあるのです。

 未成年の場合、親権者の同意が必要なので、カウンセリングにも同席していただきます。その際、どちらかの話を聞くのではなく、双方から何に悩み、どうすれば解決できると思っているかをしっかりと聞き出すようにしています。美容整形をしたいという動機を客観的に判断し、医師として十分に納得できれば、どんな治療法があるのかを説明します。

 麻酔や施術による痛み、術後のダウンタイム(施術を受けてから赤みや腫れが引いて通常の生活に戻るまでの期間のこと)や合併症のリスクについて説明し、それでもやりたいという強い意志が本人にあれば治療に入ります。

「気にすることはないよ」と言うのは簡単です。ほくろやアザの大きさ、目の大きさだけでは測れない心の傷、悩みの大きさに目を向けて判断することが大切だと考えています。施術後、見た目が変わるだけではなく、明るく前向きになれた、自信が持てたというケースは少なくありませんから。

来院前に親子間でしっかりと話し合いを

「子どもが整形をしたいと言っているけれど、どうしたら良いですか?」と相談されることもありますし、明らかに親のほうが美容整形に対して積極的で、お子さんが誘導されている場合もあります。

 私たち医師は、美容外科、美容医療のメリットやリスクについて説明することはできますが、最終判断は施術を受ける本人であり親権者です。双方の意見がまとまらないままでは治療を行うことはできませんので、カウンセリングの前に親子でしっかりと話し合いをしてきてください。

 親子間で美容整形をすると決めたものの、どんな治療法があるのか、今がベストなタイミングなのか、不安なことやわからないことがあればぜひ相談してください。

 ただし、親子でやりたいという強い意志があっても、気になる部位の状態やお子さんの発育状態によっては治療が必要ないと判断することもありますし、成長を待ってから適切な時期に治療をしましょうということもあります。

 後悔しないためにもリスクやデメリットも理解したうえで、お互いが納得いくまで話し合って決めることが大切です。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。