からだ・美容
子どもが「髪を染めたい」と言ってきたらどうすればいい? 何歳からOK? 医師が解説
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教えてくれた人:佐藤 卓士
夏休みも終盤。校則があって普段は染められないからと、長期休み中だけヘアカラーに挑戦していた学生も、そろそろ黒髪に戻そうと考えているのではないでしょうか。また、休みに関係なく、最近ではおしゃれの低年齢化が進み、小学生から「髪を染めてみたい」という興味が湧いているお子さんも多いようです。気になっているけれど、正解がどうも分からないという健康や美容の疑問を医師が解説する連載。今回からはアヴェニュー表参道クリニック院長・佐藤卓士医師に解説いただきます。第11回のテーマは「子どものヘアカラー(染毛)」について。大人でもかゆみや炎症が起こり得るヘアカラーですが、何歳からなら安全に髪を染めることができるのでしょうか。また、子どもが髪を染めることで受ける影響についても伺いました。
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子どもの髪は細くバリア機能が未発達 ヘアカラーは16歳以降に
子どもの髪を触ると分かりますが、ふわふわしていてやわらかいですよね。背が伸び、体重が増え、日々体つきが変わっていきますが、髪の毛もまだまだ成長段階。髪の主成分であるタンパク質の量は大人に比べて少なく、髪表面を保護しているウロコ状のキューティクルも未発達です。
子どもの髪は細く、大人のようなハリがありません。皮膚も薄く、皮脂の分泌量が少ないため、外的刺激から頭皮を守るバリア機能も未熟です。
思春期を迎える10歳頃から少しずつ大人の体に成長していきます。成長スピードに個人差はありますが、16~18歳には成熟していきます。髪は太くハリが出てきますが、頭皮は皮脂分泌が盛んになりべたつきやかゆみが生じることがあります。思春期の終わりまでは成長段階なので、髪も頭皮も刺激を受けやすいデリケートな状態なのです。
そのため、へアカラーをするなら16歳以降がいいでしょう。
カラー剤が原因でアレルギーを発症する場合も
ヘアカラーをしている人なら、施術中に頭皮がかゆくなった、ピリピリした痛みを感じたという経験があるのではないでしょうか。髪を染めるためには、酸化染料やアルカリ剤など薬剤を使用します。当然、髪はダメージを受けますし、頭皮や皮膚につけば炎症を起こすこともあります。
カラー剤(酸化染毛剤)に含まれる染料の一つジアミンは、アレルギーを起こしやすいことが分かっています。一度発症したアレルギーは治ることはありませんので、子どもに限らず大人も注意が必要です。
子どもの場合は前述の通り髪も頭皮も未熟なので、薬剤による強い刺激は悪影響を及ぼす可能性が高くなります。髪が傷んでパサつく、縮れるといった見た目の悪さだけでなく、繰り返して染めることによって毛根にもダメージが加わり髪の成長サイクルが乱れることもあります。
アレルギーは症状がひどくなると呼吸困難や意識障害になる場合があるので、「髪を染めてみたい」という子どもの好奇心だけでヘアカラーをするのはリスクが大きいでしょう。