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タワマンで漏水トラブル 引っ越しを余儀なくされた男性の体験談とは 不動産のプロがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

漏水の原因はどこに? 思わぬトラブルに発展することも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
漏水の原因はどこに? 思わぬトラブルに発展することも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 マンションの三大トラブルといえば「ペット、騒音、漏水」でした。しかし、近年はペットや騒音トラブルが減少傾向にあり、依然として問題になることが多いのは漏水のようです。禍根を残すことが多いという漏水問題。自身に非はなかったものの、漏水が原因でタワーマンションから引っ越したという男性にお話を伺いました。東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む不動産のプロ、姉帯裕樹さんのアドバイスとともにお届けします。

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 ◇ ◇ ◇

階下の住人からの苦情で10日間も水が使えない状態に

 お話を伺ったのは、昨年まで関東地方のタワマンに賃貸で入居していたという川島和良さん(仮名・30代)。現在は、以前住んでいたタワマンの隣の駅近くに立つテラスハウスに引っ越しました。ロケーションや眺望が気に入ってタワマンに入居したそうですが、引っ越しを決意させた理由は意外なものでした。

「昨年の冬、夜10時を回ったくらいかな。下の階の住人が突然、『水漏れしてきている!』と怒鳴り込んできたんですよ」

 その住人が、水濡れしたカーテンや壁紙、テレビなどの補償を求めてきたため、和良さんは賃貸契約をしている不動産会社に連絡。すると翌日、調査の担当者が派遣されてきました。原因を調べるためにお風呂場や台所周りの床を少しだけ壊し、細い管上のカメラを差し込むなどしましたが、和良さんの部屋が原因の水漏れではありませんでした。

「そのことを階下の住人に連絡しましたが『原因がわかるまでは水を使うな!』と、あまりにも横暴なことを言われてしまいました。私も反論しましたがまったく聞く耳を持ってくれず。万が一のことがあったら嫌なので、相手の要求通り水漏れの原因がはっきりわかるまでは、隣駅にある銭湯通いで乗り切ったんですよ」

 結局、階下の人が自身で調査を頼み直し、和良さんの部屋にも2度目の調査が入ることになりましたが問題はなし。10日ほど経った頃にようやく原因が判明したそう。水漏れを起こしていたのは、和良さんの隣戸が使用している洗濯機用の下水管でした。

「階下の人からは謝罪のひとつもなく、私は引っ越しを決意しました。階下の住人から受けた理不尽な行動について不動産会社に苦情を言ったところ、かわいそうだと思ってくれたのか、敷金を丸ごと返してもらえました」

漏水に備えて火災保険への加入を

「水漏れはね……難しい問題が多いんですよ」

 そう語るのは、中目黒コレカライフ不動産の姉帯裕樹さん。漏水はマンションでもっとも多い事故ですが、原因を見つけ出すまでに時間がかかります。その間、ライフラインとなる水が使えなくなることもあり、解決後に禍根を残すことが多いといいます。

「以前、中目黒のマンションでも同様の事故がありました。原因を突き止めるまでにとても長い時間がかかったため、住人からの苦情がすごかったですね。結局、原因は右上の部屋にあるお風呂の下水管でした。もしも真上の部屋からの水漏れであれば、原因究明も早かったことでしょう」

「水漏れが絶対に起きない」と言い切れる部屋はないと、姉帯さんは言います。どんなに丁寧に施行されていても、経年劣化や害獣被害、地震などの自然災害など、思わぬ理由で水漏れは起こるそうです。そのため、漏れを起こした場合も、被害に遭った場合も、相手や自分を責めるのではなく「仕方のないこと」とある程度割り切ったほうがいいと姉帯さんはアドバイスします。

「ちなみに、最大の対応策は、部屋を借りる際に加入する少額の火災保険(損害保険)です。これは任意保険のため加入しない方もいるようですが、自分が被害者になるときもあれば、加害者になるときもある。こうしたときの保証のためにも、借家人賠償が付いた保険に加入しておくことをおすすめします」

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。