Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

どうぶつ

ドイツで暮らす2匹の元保護猫 去勢・避妊手術の当日に見せた行動と飼い主の“失敗”

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

天真爛漫に育ったココロ。去勢手術を受けることに【写真:島崎英純】
天真爛漫に育ったココロ。去勢手術を受けることに【写真:島崎英純】

 ペットと暮らす人は、動物たちの病気やけがのときだけでなく、ライフステージに合わせて動物病院を利用しています。ドイツで暮らすサッカーライターの島崎英純さんは、生後6か月を迎えた2匹の愛猫の去勢・避妊手術を決意しました。獣医師さんとのやりとりに四苦八苦しながら、ついに迎えた運命の日。そのとき、愛猫たちが見せた行動とは?

 ◇ ◇ ◇

ワクチン接種を経て、去勢・避妊手術へ

 元保護猫で男の子の「心(ココロ)」と、女の子の「皐月(サツキ)」との暮らしは波乱万丈です。ドイツ郊外の田舎の農家から都市部の我がアパートに迎え入れ、網戸のない窓から脱出してしまう彼らを連れ戻したこともありました。また、海外初の動物病院訪問で右往左往したことも……。それでも猫たちに癒やされ、独り者の僕に常に寄り添ってくれる2匹に感謝する日々を送っています。

 今回は、またしても動物病院でのお話です。自宅から徒歩5分の距離にある大きな動物病院を見つけた僕は、さっそくココロとサツキを連れてワクチン接種を済ませました。一方で、生後6か月に満たない彼らはまだ去勢と避妊手術を受けておらず、然るべきタイミングで再び病院を訪れなければならないとも思っていました。

 望まない妊娠による多頭飼育崩壊などは、日本に限らず、ドイツでも深刻な問題ととらえられています。また、去勢することで排尿などのマーキング行動や発情によるストレスが軽減され、避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の予防効果をもたらすそうです。猫とともに暮らす身としては、この点を真剣に受け止めるべきと心得ています。ココロとサツキにも、それぞれ去勢と避妊の手術を受けてもらうことは当初から決めていました。

早口の英語でしゃべる女医さんにまたもたじたじ…

 僕は、日本で生活していたときも猫と暮らしていました。初代猫はすでに虹の橋を渡りましたが、2代目猫は今でも実家で元気に過ごしています。その初代と2代目の猫たちは保護猫施設から譲り受けた子で、いずれも去勢、または避妊手術を受けた後で僕の家に来ました。なので今回、僕は初めて愛猫が病院で手術を受けるまでの手続きをして、術後の経過観察をする経験をしたのです。

 前回と同じ、快活で豪快な女医さんに「愛猫が生後6か月を過ぎたので、そろそろ去勢と避妊手術を受けさせたいのですが……」とおそるおそる聞くと、「そうね! じゃあ、3日後に連れてきてくれるかしら」と言われました。

 しかも、女医さんは超早口の英語で「前日の夜から飲食させちゃダメだからね!」とか、「術後服は持ってるの?」とか……いろんな注意事項を速射砲のようにしゃべるものだから、メモを取るのに必死で汗が吹き出てきましたね。また、「当日は午前9時から正午の間に来てね!」とも言っていたのですが、なぜ訪問時間に幅があるのかも当初はよくわかりませんでした。