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どうぶつ

お迎え先でトイレ訓練 愛猫が切ない鳴き声を上げた理由とは ドイツで猫を飼う体験記

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

“サバトラ”のサツキは当初、とても警戒心の強い女の子でした【写真:島崎英純】
“サバトラ”のサツキは当初、とても警戒心の強い女の子でした【写真:島崎英純】

 人間の何倍もの嗅覚を持っている猫。大好きな家族の匂いにはひときわ敏感に反応してしまうこともあります。ドイツ在住のサッカーライター・島崎英純さんが、大の猫好きとして綴るこの連載。かわいい猫2匹との新生活をスタートさせ、徐々に心理的な距離を近づけようとしています。しかし、譲り受けた先から預かってきたトイレ用の猫砂を使用してトイレトレーニングを開始したところ、愛猫は寂しげな声を上げました。その理由は猫砂から感じ取った“家族の匂い”だったようです。

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性格が異なる2匹との楽しい共同生活

 ドイツで猫と共生する──。異国の地・ドイツに居住してから4年を経てそんな一大決心をした僕は、ドイツ南部の農家さんから子猫2匹を譲り受け、我が家に迎え入れました。

 1人(匹)は甘えん坊で人懐っこい、男の子の「ココロ(心)」。もう1人(匹)は可憐で用心深い女の子「サツキ(皐月)」です。僕は日本で猫とともに暮らしたことがありますが、異国の地で同居は初めての体験ばかりで、右往左往する毎日が続いています。

 女の子だと思ったら男の子だったココロは、我が家に来た初日からリビングのソファで大の字になって寝始めました。猫のお腹は急所ですから、外敵から身を守るために見知らぬ人の前では仰向けにならないと聞いていたのですが、ココロはそんなことおかまいなし。そもそもココロは初対面の僕や友人たちにもまったく警戒心を抱かず、ホイホイついていく無邪気な男の子で、何だか犬みたいな性格です。

 一方、女の子のサツキは猫らしい態度を見せています。我が家に来た直後はごはんやお水にまったく手をつけず、体に触れようとするとサッと逃げて寝室のベッドの下に潜り込んでしまいました。

 僕のベッドの下はダンボール置き場になっていて、その隙間にちょっとした空間があります。その死角を利用して隠れ家にする心づもりのようです。新しい住居に慣れない間はセーフティゾーンがあると猫も安心すると聞いていたので、サツキにとってはベッド下のスペースが当分安住の場になるのかもしれません。

 ただ、ごはんを食べ、水を飲んでくれないと体調が心配に。また、設置した猫用トイレをきちんと使用してくれるのかも気になるので、折を見てサツキに声がけをしてみます。すると、僕の声に反応したココロが僕の体にすり寄ってきました。それはそれでかわいいのですが(猫バカ)、ダンボールの隙間からその姿を見たサツキが冷たい視線を浴びせているので気まずい……。