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両親を介護の末に見送った60代独身女性 現在の思いを告白 「将来の不安といえば孤独死」

著者:中野 裕子

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独身のまま両親を見送った女性。その現在の心境とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】
独身のまま両親を見送った女性。その現在の心境とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 未婚化・非婚化が進み、生涯にわたって実家で親と暮らす男女が増加中だ。親が元気で面倒を見てくれるうちは良いが、やがては老いていく両親の介護が待ち受けている。最期を見送り1人残された時、何を思い、何を心の支えに生きるのか。そして、後悔はないのか。首都圏の2SLDKのマンションで一人暮らしをする63歳“アラ還”女性の久田夏子さん(仮名)に、現在の心境を聞いた。

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親の介護は当たり前のこと 嫌ではなかった

 8年前に母を87歳で、4年前に父を93歳で見送りました。2人とも晩年はパーキンソン病やがんなど、いろんな病気で入退院を繰り返していたので、同居する私が面倒を見ていました。仕事をしながらでしたけど、私が勤めるのは小さな会社なので何かと融通を利かせてくれたんです。弟も仕事の都合をつけながら手伝ってくれましたよ。近くに住んでいるので。ただ、弟は家庭を持って独立しているので、やはり親と同居する私が中心でした。

 でも、両親の面倒を見るのは嫌ではなかったです。だって自分の親なんだから、当たり前のこと。ずっと一緒に暮らしていたので、両親の病や老いも自然に受け入れられたのかもしれません。良いケアマネージャーもついてくれて、ヘルパーさんも入ってくれて、入浴サービスなどの制度も利用させてもらって、助けてもらいました。

 実家は今住んでいるマンションから歩いて数分のところにありました。小さなお店をやっていて、1階が店舗兼リビング、2階にお風呂や寝室がある戸建て。物心ついた頃から私も店番をやったり、土日も働く両親を手伝ったりしていました。思い出の詰まった我が家でしたが、母が亡くなり、いよいよ足腰が立たなくなってきた父親が暮らすのは難しくなってしまいました。

 それで、今のマンションで父と一緒に暮らすつもりで、実家を売ってそのお金でマンションを買ったんです。でも、引っ越す直前に父が亡くなってしまって……。ここは1人で暮らすには、ちょっと広いですよね。中古ですけど、築浅で先住者がとてもきれいに使ってくれたので、まだ新築のようにきれいなんです。

両親の死 正直なところまだ立ち直れていない

 リビングの片隅に両親の遺影を置き、お供えをして、毎日何度も手を合わせています。もし自分の人生で後悔があるとすれば、両親の病気に早く気付いてあげていればもっと幸せな余生を送らせてあげられたんじゃないか、ということですね。

 やっぱり両親を見送って1人になると寂しいです。「だいぶ悲しみが癒えたな」と思えるまでに3年かかり、正直まだ立ち直れていない。未だに、両親が好きだった食べ物を見ただけでも悲しくなって涙が出てしまうぐらい。ただ、一時だけ泣けば、気持ちが落ち着いてさっぱりすることも覚えました。

 私の両親はとても優しくて、子どもの頃から私をとてもかわいがってくれたんです。年老いて身体の自由が利かなくなってからも、イライラしたり、愚痴ったり、大声を上げて私に当たったりなんてまったくしませんでした。それどころか、身体が思うように利かないのに、私が仕事で帰りが遅いとお布団を敷いてくれたりして。そんな両親だったので、私も両親がお漏らししても、夜中にトイレで起こされても、大変でしたが腹は立ちませんでした。