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からだ・美容

老け見えしがちなまぶたのたるみ 放っておくと不調につながることも 予防法を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

まぶたをこする、引っ張ることもたるみを引き起こす

 皮膚への刺激もダメージとなり、コラーゲンやエラスチンの減少につながります。

 まつ毛パーマやまつ毛エクステ、アイメイクはまぶたを引っ張ることになるので、繰り返すとダメージが蓄積され、たるみの原因になる可能性があります。メイクを落とすときに摩擦も起きますので、これも皮膚へのダメージに。

 コンタクトレンズの長期使用もたるみの原因になるといわれています。レンズをつけたり外したりするときに、まぶたを引っ張ることが負担になるからです。

 目の周りの皮膚は薄く繊細なので、少しの摩擦で炎症を起こします。たとえば、花粉症で目がかゆくなり何度もこすってしまうと、赤く腫れたようになることも。

 継続してゴシゴシとこすっていると目の周りに色素沈着が生じますし、摩擦によってハリや弾力が失われ、たるみの原因にもなるので注意しましょう。

 摩擦だけでなく、紫外線によるダメージも皮膚のたるみにつながりますので、目元のUVケアを忘れずに行ってください。

まぶたが垂れ下がり視野が狭くなる「眼瞼下垂」

 個人差はあるものの、年を重ねれば皮膚はたるんでくるものです。まぶたのたるみもエイジングサインのひとつ。しかし、見た目の変化だけでなく「物が見えにくい」「まぶたが重く、開きにくい」と感じたら注意が必要です。

 まぶたが開きにくくなり、瞳孔にまぶたがかぶさってくると物が見えにくくなります。これは「眼瞼下垂」という病気です。上まぶたを上げる眼瞼挙筋の筋力や、その付着部分の挙筋腱膜が弱くなることが原因といわれています。

 まぶたが開きにくくなると、無意識に眉やおでこの筋肉を使ってまぶたを上げようとするため、おでこや眉間にシワが増えてきます。また、視野が狭くなってくるとアゴを上げて見下ろすようになります。無理な姿勢になるため、首・肩こり、頭痛などの不調が現れます。

 まぶたを開けるのが困難、視野が狭くなり物が見えにくいと感じたら、眼科もしくは形成外科を受診しましょう。

 眼瞼下垂の明確な診断基準はありませんが、基本的には上まぶたが瞳孔にかぶってしまい、まぶたを開くのに力を必要とし、視野障害をともなうことが診断の目安になります。また、正面を向いた状態で瞳孔にどれだけ上まぶたがかかっているかなど、写真や計測器を用いて検査し、その数値から重症度を判定します。

「眼瞼下垂」と診断がつけば、治療は保険適用になります。ただし、軽度の眼瞼下垂で物が見えにくいわけではなく「目をパッチリさせたい」など、美容目的で手術をすると自費になります。

下まぶたのたるみを取る手術も

 目の下のたるみをなくしたいという人は、眼窩脂肪を切除する方法(脱脂手術)があります。下まぶたをめくって結膜を小さく切開し、目の下の膨らみを確認しながら脂肪を取り除いていきます。

 しかし、この手術は美容目的なので保険適用外です。気になる人は形成外科、美容外科に相談してください。

 まぶたのたるみと言えば加齢によるものがほとんどでしたが、近年は若い世代にも増えています。スマホやパソコンの長時間使用、二重のりやまつ毛エクステ、アイメイク、コンタクトレンズなど、日常的に目元を酷使している人が多いことが原因といわれています。

 まだ若いから大丈夫と思わず、日頃から眼輪筋、眼瞼挙筋を動かしてたるみ予防をしましょう。まぶたに過度な負担をかけない生活も心がけてください。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。