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「おとり物件」に騙されない 知っておくべき基礎知識
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
マンション最上階の1LDK、南東角部屋、ターミナル駅徒歩1分、40平米で、家賃は破格の安さ――。そんな素敵な物件があるなんて! ほかの人に借りられてしまう前に、契約しなくちゃ! と、意気込んで不動産屋に足を運んでみたものの「すでに借り手がついてしまった」と返答が。ほかの物件をあれこれとすすめられ、いつの間にか家賃がやや高めの部屋を契約させられていた……なんて経験を持つ方がいらっしゃるかもしれません。こうした、いわゆる「おとり物件」に釣られないためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。不動産取り扱い経験は20年以上、宅地建物取引士の資格を持つ東京・中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに教えていただきました。
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集客力を上げるために表示する「おとり物件」
実は筆者自身、就職後にひとり暮らしをしようとした際にこうしたおとり物件に引っかかったことがあります。掘り出し物件を見つけたと、不動産屋に意気揚々と行くと「ついさっき、別の人が借りてしまったばかりで……」と言われ、別の物件をさんざん紹介される羽目に。その後も件の物件の掲示が下げられることはなく、「ああ、これが世に言う『おとり物件』なのだな」と思った苦い経験があります。
おとり物件とは、実際には取引されていない好条件の不動産情報を公開し、お客さんを集めようとする物件のことです。集客のためにおとり物件を掲載することを「おとり広告」と呼びます。おとり物件の表示は、宅建業法32条で禁止されている違法行為です。違反した業者には、業務停止や免許取り消しなど厳しい処分が科せられることになっています。
姉帯さんは「おとりである証拠を掴むのは難しく、残念ながら、おとり物件として故意に掲載・掲示する“悪徳”な不動産業者がいないとは言い切れません。たまたま掲載を取り下げるタイミングが遅れ、結果的におとり物件になってしまった例もあります。必ずしもオンタイムの情報が流れているとは限らないので、物件を探す際はそうしたことを念頭に置いておく必要があります」と言います。
おとり物件の見極めポイントとは
おとり物件の多くは、駅から近いのに安い、部屋が広いのに安いというように「家賃がほかと比べて安い」ことが特徴です。ほかの物件と見比べてみて明らかに安い場合は、おとり物件の可能性が高いので注意が必要です。おとり物件について問い合わせし不動産会社に行っても、取引されていない物件の場合は時間の無駄になってしまうでしょう。
姉帯さんによると、直接不動産会社に足を運ぶ前に電話で問い合わせを行い、「内見が可能かどうか」を聞いてみるのも良いそうです。おとり物件は、実際は借りることができない物件を掲示しているので、内見を断られます。または、いったん「内見OK」を出しておいて、後から「実はその日、大家さん側がいないようで……」と拒否してくる場合があれば可能性大です。
最初に述べたように、おとり物件の表示は違法です。明らかにおとりだとわかる物件に当たった場合は、消費者庁の「消費者ホットライン(188番)」に連絡しましょう。同じく消費者庁の「ご意見・ご感想投稿フォーム」からメールで相談することもできます。
(和栗 恵)
姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)
「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。