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旬が2回あるアサリ シジミとの栄養や特徴の違いとは おいしい見分け方と食べ方も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

アサリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
アサリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 潮干狩りの主役であるアサリ。日本人に古くからなじみのある貝類です。通年手に入りますが、旬は春と秋の2回あり、産卵期直前の春は、栄養を溜め込んだふっくらと濃厚な身が楽しめるのだとか。同じくなじみのある貝類といえば、シジミもあります。どちらも二枚貝ですが、栄養面で何か違いはあるのでしょうか? 元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

アサリとシジミは何が違う? 旬や生息場所

 みそ汁の具にしてもおいしいアサリやシジミ。殻の模様や大きさなど見た目が違いますが、生息している場所も異なります。

 アサリは、塩分のある海水の浅瀬に生息します。アサリからほんのりと磯の香りがするのはこのためです。一方、シジミは河川や汽水域(海水と淡水が混じり合っている水域)に生息します。塩分がある水域では生息できません。

 どちらも砂抜きをしますが、アサリのほうが塩分濃度の高い塩水(3%)を使います。理由は、海水に生息しているからです。シジミの場合は濃度の低い塩水(1%程度)、または真水を使います。

 通年出回りますが、どちらも旬が2回あります。アサリは春と秋、シジミは夏と冬です。夏のものは「土用シジミ」、冬のものは「寒シジミ」と呼ばれます。

栄養の違いは? それぞれの特徴

 主な栄養価の違いは、次の通りです。日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に、生100グラムあたりの違いを見ていきましょう。

○エネルギー
アサリ:27キロカロリー
シジミ:54キロカロリー

○たんぱく質
アサリ:6.0グラム
シジミ:7.5グラム

○脂質
アサリ:0.3グラム
シジミ:1.4グラム

○鉄
アサリ:3.8ミリグラム
シジミ:8.3ミリグラム

○カルシウム
アサリ:66ミリグラム
シジミ:240ミリグラム

○カリウム
アサリ:140ミリグラム
シジミ:83ミリグラム

 以上より、アサリはたんぱく質や脂質が少ないため、エネルギーがシジミの半分。アサリには、むくみなどが気になる人に有効とされるカリウムが多く含まれています。一方のシジミは、不足しがちな鉄やカルシウムが豊富です。

 アサリやシジミなど貝類の主なうま味成分は、コハク酸やグルタミン酸です。また、アミノ酸の一種であるタウリンは疲労回復効果でも知られていますが、そのほかコレステロール値や中性脂肪、血圧の低下、糖尿病や視力低下の予防などにも期待されています。

 肝機能の働きを促し、二日酔いに良いといわれるオルニチンはシジミに豊富ですが、アサリにはほとんど含まれていません、

旬のアサリ おいしい食べ方

アサリの炊き込みごはん(写真はイメージ)【写真:写真AC】
アサリの炊き込みごはん(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 アサリは傷みやすいので、手に入れたら早めに食べましょう。大ぶりで殻が割れておらず、閉じているものがおいしい証拠です。貝殻の色や模様はさまざまですが、模様がはっきりとしたものを選びましょう。扁平の形のものは味が良いともいわれています。

 また、炊き込みごはんやみそ汁の具材なども和食も良いですし、パスタソースやクラムチャウダーにしても良いでしょう。

【参考】
厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾