からだ・美容
5月でも熱中症になるのはなぜ? 高齢者はとくに注意を 医師が警鐘
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教えてくれた人:近藤 千種
令和5年度「熱中症警戒アラート」の運用が4月26日に開始しました。5月は朝晩が涼しくても、日中は汗ばむ陽気になる日が増えます。それと同時に、熱中症で救急搬送される人も増加する傾向に。なぜ、本格的な夏ではないのに熱中症を発症しやすいのでしょうか。また、とくに気をつけたい世代は? ちくさ病院副院長で、抗加齢医学会認定専門医の近藤千種医師に解説していただきました。
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5月は汗をかくことに慣れておらず、リスクが高まる季節
消防庁の発表によると、昨年5月の全国における熱中症による救急搬送人員は2668人。これを年齢区分別で見ると、高齢者(65歳以上)がもっとも多く1380人で、全体の半数以上となる51.7%に上っています。
真夏ではないにもかかわらず、5月に熱中症の搬送人員が増えるのはなぜでしょうか。近藤医師によると、5月ならではの理由があるようです。
「私たちは、汗をかくことや皮膚温度が上昇することによって熱を体外へ放出し、適度な体温を維持するシステムを持っています。ところが、5月はまだ体が汗をかくことに慣れていないため、発汗がスムーズにいかず、熱中症のリスクが高まります。また、この時期によくある一日の寒暖差や前日との気温差が大きいときにも、熱中症を発症しやすくなります」
気象庁の発表によると、昨年5月の東京都の平均気温は18.8度でしたが、もっとも気温が高かった日は31.2度と真夏日に。逆にもっとも気温が低い日は15.6度と、かなりの気温差があります。地域差はあるものの、5月は気温差が激しい日が多いと言えるでしょう。
体温調整しやすい服装や汗をかきやすい体作りを
それでは、5月の熱中症を予防するには、どうすれば良いのでしょうか。近藤先生は、夏と同じように基本的な対策をするのに加え、脱ぎ着や体温調整がしやすい服装をすること、そして汗をかきやすい体になるための生活習慣の改善が大切だといいます。
○熱中症予防の5か条
1. エアコンを使用し、部屋の温度が28度以上、湿度が70%以上にならないよう調整する
2. 外出の際は日傘や帽子を使用する。吸湿性、通気性の良い素材を選ぶなど涼しい服装を心がける
3. 屋外での活動時にはマスクをはずす。マスク着用時の運動は避ける
4. こまめな水分補給
5. 軽い運動や半身浴などをして、汗をかきやすい体にする