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声も出ず電話もかけられず… 熱中症で自宅から搬送された一人暮らしの女性が語る 「本当に怖かったこと」

著者:中野 裕子

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暑い日が続く(写真はイメージ)【写真:写真AC】
暑い日が続く(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もうすぐ8月も終わるが、今年は残暑が厳しく、熱中症で救急搬送される患者はまだまだ多い。新型コロナウイルス感染症対策でマスクをしているからか、昨年より熱中症患者が大幅に増えているという。熱中症は高齢者や子どもへの注意喚起が目立つが、中高年を含む幅広い年齢層でも起こるリスクは高い。早めの対策が肝心とされるが、普段は健康であるがゆえに「まさか自分が」と初期症状で自覚を持てずに急激に悪化したというケースもある。都内在住のアラフィフの斉藤博子さん(仮名)もその1人。40代半ばで一人暮らしの自宅で急激に悪化し意識を失いかけた寸前に、幸運にも緊急搬送された実体験を語った。

 ◇ ◇ ◇

ある暑い日、図書館で調べ物に集中していたら

 実はギラギラとした日差しが怖いんです。私が熱中症を起こしたのは、5年ぐらい前。8月のお盆を過ぎた頃でした。今も忘れられません。

 私は当時、40代半ば。若くはないですが、体力の衰えを強く実感する年代でもない。運動を定期的にしていたし、健康には自信がありました。クーラーは普通に利用していました。ただ、当時、ちょっと気がかりなことがあって睡眠不足気味だったかも、とは思います。

 あの頃、私は図書館にちょくちょく通っていて、その日も調べ物をしようと出かけて行きました。図書館というとクーラーがガンガン効いているイメージですが、当時はメディアなどで節電が声高に訴えられていたせいか、その日は控え目。図書館に入ってすぐ「ん? 今日はあんまり効いていないな」と思いました。でも、冷え性の私にとっては、ちょうどいいぐらいでした。

 資料を取ってきて椅子に座り、1時間か1時間半程度、根を詰めて読んでいました。日の当たる、ちょっと暑い席だったと思います。図書館では本が汚れないように、着席しての飲食は禁止ですし、調べ物にすごく集中していていたので、席を外して水分を摂ることもしませんでした。

トイレに行こうと席を立った時、頭がフワ~ッと

 一息つき、トイレに行こうと席を立った時です。頭がフワ~ッとしたんです。「あれ、おかしいな」と思いました。その感覚を例えるなら「立ちくらみかな」という感じ。でも貧血ではないので、普段、立ちくらみになることはありません。

 トイレで用を足して立ち上がった時、またもフワ~ッとしました。「んん?」と思いながらも席に戻ろうとしたのですが、フワフワが治まりません。「おかしいな」「どうしたんだろう」と思い、数メートル歩いた先にあった椅子にしばらく座って休んでみました。でも、良くなりません。

 すぐそばにいた司書さんに「ちょっと具合が悪いので休ませてもらえませんか」と言おうかとも思いましたが、大げさな気がしてやめました。それに横になって休むだけなら「家に帰って休めばいいや、早く帰って休もう」と思ったんです。それで、資料を読んでいた椅子に戻り、荷物をまとめて図書館を出ました。