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不妊の原因を受け止められない夫 子どもが欲しいアラフォー女性の抱える苦悩とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

不妊に悩む夫婦は増加の傾向にある(写真はイメージ)【写真:写真AC】
不妊に悩む夫婦は増加の傾向にある(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 厚生労働省の「2021年社会保障・人口問題基本調査」によると、日本では、不妊症の検査や治療を受けたことがある夫婦は22.7%で、全体の約4組に1組。2015年の同調査では18.2%(約5組に1組)で、働きながら不妊治療を受ける夫婦が増加傾向にあります。そんななか、不妊の原因に目を向けることができない男性もいるようです。今回お話を聞かせてくれたのは、男性不妊だった夫の言動に悩まされている30代後半の女性。夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんがアドバイスします。

 ◇ ◇ ◇

不妊症専門クリニックで検査を受けたところ夫の不妊が発覚

 都内在住の原田まなみさん(仮名・37歳)は、商社の営業として世界を飛び回っているキャリアウーマンです。30代中盤に差しかかった頃、結婚相談所に登録。3年ほど前にマッチングした2つ年上の男性と結婚しました。以下、まなみさんのお話です。

 夫と結婚してからは、お互いもう若くはないので「子作り」のために頑張ろうという共通認識のもと、基礎体温をつけたり、サプリメントを飲んだりしながら夫婦生活にいそしみました。しかし、2年経っても妊娠する兆しがなかったため、まずは私が不妊症専門のクリニックへ。さまざまな検査を受けましたが問題はなし。今度は夫に検査を受けてもらったところ、不妊の原因が夫側にあるとわかりました。

 診察室で医師からその話を聞いたとき、とてもショックを受けました。でも、高度不妊治療でなら妊娠する可能性があるかもしれないと言われ、そこに懸けることに。妊娠に向けて前向きに頑張っていこうと思ったのですが、夫にこう言われたのです。

「悪いけどさぁ……不妊の原因は、お前のほうにあることにしておいてくれない?」

 その理由を聞くと、夫の両親がショックを受けないために嘘をついてほしいとのこと。「それって、私の両親は悲しんでもいいってこと?」と聞き返すと、夫は黙ってしまって……。それ以来、夫と顔を合わせるのがつらくなってしまいました。現実と向き合おうとせず、自分のことしか考えていない夫に、今は愛情も何も感じません。

 私は今年で38歳になります。すぐに離婚して、新しい男性を見つければ……とも思いますが、妊娠できるタイミングを逃してしまうかもしれないし、離婚に踏み切れずにいます。

不妊が原因で離婚に至るケースも

 かなり切実な状況にあるまなみさんのお悩みについて、夫婦カウンセラーの原嶋さんに伺いました。

「現代は不妊治療の検査や治療方法が確立されているものの、高齢者や男性のなかには、残念ながら『不妊の原因は女性の側にある』と思い込んでいる人が多いようです。また、繊細な男性の場合、不妊の原因が自分自身にあることを受け止め切れないことも。まなみさんの夫はこのタイプなのでしょう。だからといって、不妊の原因が妻にあると嘘をつくのは別の話ですよね」

 原嶋さんは、子どもを望むのであればこのまま治療続けるのもひとつの選択肢である一方、「一度、不信感を抱いてしまった相手とこのまま夫婦生活を平穏に送ることができるのか?」という疑問が残るといいます。

「今は冷静に『この夫と一生をともにできるのか?』について考えてみましょう。そのうえで、夫と話し合うといいと思います。そのときは、嘘をつくことはできないこと、今回のことで信頼感がなくなったことなどを明確に伝えるのが大切です。それでも状況が変わらないようであれば速やかに離婚して、新しいパートナーと夫婦生活を始めたほうがいいかもしれませんね」

(和栗 恵)