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レタスの食物繊維 実は少ない? 意外な栄養成分も 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
レタスというと、食物繊維が多いイメージを持つ人が多いでしょう。「レタス何個分の食物繊維」など、含有量の基準として用いられることもあるのでなおさらです。実際、どれくらいの量を含んでいるのでしょうか? また、レタスの種類によって栄養の違いがあるのかなど、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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レタスは古くからなじみのある野菜
レタスは野生種から進化した野菜といわれています。日本には、平安時代の末期にアジア系のレタス「ちしゃ」がありました。現在の主流である、球状に結球している玉レタスはヨーロッパ系で、江戸時代に伝来し、本格的に栽培されるようになったのは明治の頃といわれています。古くからなじみがあり、親しまれてきた野菜のひとつです。
――「レタス3個分の食物繊維」など、物差しとして用いられることがありますが、実際にレタスに含まれる食物繊維の量は多いのでしょうか?
和漢さん(以下、同)「100グラムあたりの食物繊維の量を比較すると、レタスは1.1グラム(水溶性0.1グラム、不溶性1.0グラム)です。同じ葉の野菜で同量あたりを比較してみると、白菜は1.3グラム(水溶性0.3グラム、不溶性1.0グラム)、キャベツは1.8グラム(水溶性0.4グラム、不溶性1.4グラム)。根菜類のゴボウは5.7グラム(水溶性2.3グラム、不溶性3.4グラム)です。実は多いとは言えません」
――たとえば1日の食物繊維の目標量をレタスだけで摂取しようとすると、どのくらいの量のレタスを食べなければならないでしょうか?
「日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、成人男性は21グラム以上、女性は18グラム以上です。食物繊維20グラムを摂取する場合、レタスは約1.8キログラムが必要になり、レタス1個を300グラムとすると6個食べる計算になります。現実的ではないですね」
種類によって食物繊維の量は変わる?
――レタスの種類によって食物繊維の量は違いますか?
「通常のレタス、サニーレタス、リーフレタスで比較すると、食物繊維がもっとも多いのはサニーレタス(2.0グラム)。次いでリーフレタス(1.9グラム)、レタス(1.1グラム)の順になります」
――食物繊維のほかに、レタスにはどんな栄養があるのでしょう?
「美肌に欠かせないコラーゲンの生成や抗酸化作用が期待できるビタミンCやβカロテン、骨や歯を形成するほか精神の安定にもかかわり、心身ともに重要な働きをするカルシウムなど、ビタミンやミネラルを多く含みます。茎を切ると白い液体が出てくることがありますが、これはポリフェノールの一種でラクチュコピクリンと呼ばれるもの。苦味があり、鎮静作用や催眠促進効果が期待できるとされています」
――栄養を有効に摂取するには、生で食べるほうが良いのでしょうか?
「水溶性のビタミンCを損失することなくとりたい場合は生食が良いと思いますが、加熱するとかさが減ってたくさん食べられます。ゆでるのではなく、電子レンジを活用すると損失を防げるでしょう。また、スープやみそ汁などの具材にすれば汁ごと食べられます。油を使ったチャーハンや野菜炒めの具材として使えば、脂溶性であるβカロテンの吸収率がアップしますよ」
【参考】
食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾