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【夏至】2024年はいつ? 読み方や意味は? 世界の夏至の風習も紹介

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

一年でもっとも昼間が長い夏至の日(写真はイメージ)【写真:写真AC】
一年でもっとも昼間が長い夏至の日(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「夏至(げし)」とは、季節の変化を知る目安としてきた二十四節気のひとつ。一年でもっとも昼間が長い日です。本格的な梅雨シーズンとなっている地域が多いため、日差しをあまり実感しないかもしれませんが、しだいに太陽の光が強くなり暑さも増していきます。2024年の夏至はいつからいつまでなのでしょうか。習わしや食べ物について解説します。

 ◇ ◇ ◇

    目次

  1. 夏至とは 読み方や意味
  2. 夏至の習わし、風物詩は?
  3. 世界の夏至の風習は?
  4. 夏至の七十二候 季節の移り変わり
  5. 夏至の頃の食べ物

夏至とは 読み方や意味

 夏至は「げし」と読み、二十四節気のひとつです。二十四節気とは、太陽の動きに合わせて1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにその季節それぞれを6つに分けたもの。全部で24あり、古くより季節を感じる目安として用いられてきました。二十四節気は立春から始まり、夏至は10番目の節気です。

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○一年でもっとも夜が短い「短夜」

 とくに夏至の日(2024年6月21日)は、北半球では一年でもっとも昼が長く、夜が短い日。秋の「夜長」に対し、夏の夜は「短夜(みじかよ)」と言います。現在は、最低限の光で夜を過ごす「キャンドルナイト」のイベントを開催するところも。「夏に至る」の文字通り、夏の盛りに向かっていきます。

○夏至と冬至との違いとは

 一年でもっとも高い位置に太陽が出ているのが夏至の日です。一方、冬至の日(2024年12月21日)は太陽が低い位置までしか昇らず、夜がもっとも長い日に。東京の場合、冬至の日に比べると、夏至の日は約5時間も夜の長さが短くなります。

○2024年の夏至はいつ?

 2024年の夏至は、6月21日(金)~7月5日(金)です。

夏至の習わし、風物詩は?

 夏至には、さまざまな習わしや風物詩、季語があります。

○夏越の祓

茅の輪くぐり(写真はイメージ)【写真:写真AC】
茅の輪くぐり(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 6月30日。一年の半分の罪や穢れを落とす行事が各地で行われます。12月の「年越の祓」に対し、この6月の行事は「夏越の祓」または「水無月の祓」と呼ばれているそう。多くの神社に茅で作った輪が立てられ、茅の輪くぐりを行います。

○半夏生

半夏雨(写真はイメージ)【写真:写真AC】
半夏雨(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 夏至から数えて11日目の雑節。田植えを済ませた農家がほっと一息つく日とされています。半夏生の日に降る雨を「半夏雨」と呼び、田の神様が天へ昇っていったといわれました。関西では「タコの足の吸盤のように、稲がしっかり育つように」との思いを込めて、タコを食べます。

○短夜

夏の短夜(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏の短夜(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「みじかよ」と読む、夏の季語。夏の夜の短さを惜しむ気持ちが込められているそうです。春の「日永(ひなが)」、秋の「夜長(よなが)」、冬の「短日(たんじつ)など、季節のめぐりとともに変化する昼と夜の長さを情緒的に表現した言葉があります。

○茅花流し

白い穂が風に揺れる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
白い穂が風に揺れる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 梅雨の季節に吹く、湿った南風の呼び名。茅花の白い綿の穂に吹く風が名前の由来といわれています。房総半島から伊豆では「流し」と呼ぶことも。

世界の夏至の風習は?

 太陽への信仰が強いヨーロッパでは、夏至を重要な節目として各地でお祭りが行われます。

○スウェーデンの夏至

 古くから伝統的な風習を残している地域があります。シラカバの若枝を家の入り口や中に飾り、豊作と平和を祈りました。また、「五月柱」と呼ばれる夏至を祝う柱が立てられます。民族衣装で着飾った人々が柱の飾りを持ってきたり、柱を囲んで踊ったりすることも。

○ノルウェーの夏至

 地域によっては、美しく着飾った子どもたちの模擬結婚式「子どもの結婚式」が行われることで知られています。小さな新郎新婦とお付きの子どもたちで行列ができ、披露宴も開催。夜になると、湖畔で薪に火がつけられ、歌やダンスを楽しみます。繁栄と豊作を願う儀礼の名残といわれているそうです。

○英国の夏至

 英南部の遺跡ストーンヘンジで夏至を祝うイベントが有名です。遺跡には通常、ロープが張られて近づくことができませんが、特別に開放されるそう。夏至の日は、ストーンヘンジの中心にある祭壇の石と少し離れたヒールストーンを結ぶ直線状に朝日が昇ることから、早朝から人が集まります。

 北半球が夏至を迎える日、南半球では冬至を迎えます。南半球のオーストラリアでは伝統的な焚き火をモチーフにした光を飾り、ブラジルでは音楽やダンスなどで祝うなど、もっとも長い夜を各地で祝います。

夏至の七十二候 季節の移り変わり

半夏(カラスビシャク)(写真はイメージ)【写真:写真AC】
半夏(カラスビシャク)(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 二十四節気の節気(約15日間)を、さらに3つ(約5日間)に分けた季節の目安を「七十二候」と言います。日本特有の季節の移り変わりを感じ取ることができる、古来伝わる区分です。夏至の七十二候を見てみましょう。

○初侯 乃東枯(なつかれくさかるる)

 6月21日頃。冬に芽を出した夏枯草(かこそう)が枯れていく時期を言います。盛んに花が咲いていく季節ですが、枯れていく花で季節を感じる言葉です。

○次候 菖蒲華(あやめはなさく)

 6月26日頃。梅雨の到来を告げるアヤメはショウブの花にも似ていますが、花びらに網模様があるのが特徴です。

○末侯 半夏生(はんげしょうず)

 7月2日頃。半夏(カラスビシャク)が生え始める頃です。昔は田植えを終わらせる目安にしてきました。

夏至の頃の食べ物

 太陽の光が強くなり、暑さが増す夏至の頃は、水分が多い野菜などが旬を迎えます。

○冬瓜

冬瓜(写真はイメージ)【写真:写真AC】
冬瓜(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「冬の瓜」と書くのは、湯冬まで保存がきくため。旬は夏です。90%以上が水分のため、熱を冷まして余分な毒素を追い出すと食べ物と考えられてきました。

○キュウリ

キュウリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
キュウリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 露地ものが旬を迎えます。およそ96%が水分で、「もっともエネルギーが少ない果実」としてギネス世界記録に登録。蒸し暑い時期に“アイス感覚”でかじるのが江戸っ子に人気だったとか。

○タコ

タコの刺し身(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タコの刺し身(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 半夏生に食べる地域もありますが、マダコがおいしい季節です。アミノ酸の一種タウリンや抗酸化作用があるビタミンEなどが含まれ、この時期のタコを食べると寿命が延びるといわれています。

【参考】
「図説 ヨーロッパの祭り」谷口幸男、遠藤紀勝著(河出書房新社)
「365日を豊かに過ごす 日本の四季、二十四節気、七十二候」(宝島社)
「にっぽんの七十二候」(エイ出版社、エイはきへんに「世」)
「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候」水野久美書(KADOKAWA)
国立天文台「暦Wiki」七十二候
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBCB7BDBDC6F3B8F5.html

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu