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世界から注目されるこんにゃく 減量には有効? 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

低カロリーで知られるこんにゃく(写真はイメージ)【写真:写真AC】
低カロリーで知られるこんにゃく(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 こんにゃくは今、健康的な食材として世界でも認知度が増しています。5月29日は「こんにゃくの日」。記念日にちなみ、注目すべき栄養メリットや1日の適量、アク抜きなど、こんにゃくについて和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ほとんどが水分 しらたきはパスタ代わりにも

 こんにゃくは、和食を代表する食材のひとつです。江戸時代に庶民へ広まり、町には「こんにゃく売り」が立つほど。江戸の人々には、体内に溜まった砂を取り除く意味の「砂払い」として、定期的にこんにゃくを食べる習慣があったそうです。当時から、こんにゃくが「便通を良くする」食べ物であることを経験として知っていたのでしょう。実際にはどうなのでしょうか。

――こんにゃくには、どのようなな栄養成分があるのでしょうか?

和漢さん(以下、同)「こんにゃくは約97%が水分で、食物繊維のグルコマンナンが主な成分です。グルコマンナンには整腸作用があり便通を良くするほか、コレステロール値や血糖値の上昇を抑え、生活習慣病予防効果にも期待できます」

――近年、ヘルシーな食品として世界でも認知度が上がっています。その理由はどのような点にあるのでしょうか。

「100グラムあたり精粉こんにゃくは5キロカロリー、生芋こんにゃくは8キロカロリーと、とても低カロリーの食品です。そのため、小麦粉を原料とするパスタの代わりに、こんにゃくを麺状にしたしらたきを使うとエネルギーが抑えられます。また、たんぱく質(グルテン)を持つ小麦粉を原料としないため、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手の書籍で話題になったグルテンフリーの食生活が実践できることから、世界でも認知度が上がったのでしょう」

人気のしらたきパスタ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
人気のしらたきパスタ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

――こんにゃくを最初に食べると食べすぎを防げると聞いたことがありますが、体重が気になる際には有効でしょうか?

「食事の前に水を飲むと、満腹感を得やすくなると聞いたことはありませんか? それと同じ考え方です。低エネルギーのこんにゃくを最初に食べることによって、胃が膨らみ満腹感を得られるため、食事の量を減らすことができます。しかし、減量には有効ですが、こんにゃくは決して栄養価の高い食品とは言えません。バランスの良い食事を心がけましょう」

――こんにゃく自体の食べすぎには注意が必要でしょうか? 1日にどのくらいの量を食べるのが良いですか?

「食物繊維は小腸で消化吸収されず、大腸に到達する栄養素です。整腸作用を持つ食物繊維であっても、とりすぎは逆効果。下痢や便秘になったり、ひどい場合は腸閉塞を起こしたりすることも考えられます。また、鉄やカルシウム、亜鉛などのミネラルの吸収が妨げられるといわれているため、1日100グラム程度、板こんにゃくであれば1/2~1/3枚程度が良いでしょう」

――こんにゃくをおいしく食べるために、アク抜きはしたほうが良いのでしょうか?

「こんにゃくのアクは、原料のこんにゃく芋に含まれる渋味やえぐみ成分のフェノール誘導体やシュウ酸、臭み成分のトリメチルアミン、凝固剤の水酸化カルシウムです。アク抜きをすることにより不快な成分が取り除かれ、おいしくなります。時間を短縮したい人は、アク抜き不要の製品を選ぶと良いでしょう」

――ゴボウと一緒に調理すると緑色になることもありますが、アクが原因なのでしょうか? 食べても平気ですか?

「ゴボウに含まれるクロロゲン酸と、アルカリ性食品であるこんにゃくが反応して変色するといわれています。食べても問題ありません。精粉こんにゃくよりも生芋こんにゃくのほうが変色しやすいようです。一緒に調理する前に、それぞれのアク抜きをすると良いでしょう」

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾