仕事・人生
日本に恋したフランス人YouTuber 日本人が忘れがちな「当たり前ではないこと」
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フランスから来日して7年のオレリアン・プダさんは、チャンネル登録者数30万人以上の「Bebechanチャンネル」を運営する人気YouTuberです。「日本のフランス人」として、独自の視点から日本での日常を紹介する内容が注目され、登録者の97%が日本人だといいます。日本人に愛されるオレリアンさんへのインタビュー連載。2回目は、なぜ日本の生活に密着した発信をするのか伺いました。
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来日初日に荷物を紛失も無事に手元へ
電車が時間通りに来る、ゴミ箱がないのに街がきれい、ゴミを持ち帰る、公共トイレが無料なのにきれい――日本人が当たり前と感じることは、ときに来日した外国人観光客を驚かせることも多々あるようです。オレリアンさんの「Bebechanチャンネル」は、日本では当たり前になっている日常の魅力について、日本人が再発見・再認識できる機会を与えてくれます。
「ずっと日本に住んでいると忘れて、気づかないんです。日本では飲食店に入ると、普通に水とおしぼりが出てきます。フランスだとおしぼりはないし、水も頼まないと出てきません。当たり前ではないんです。外国人として、日本のおもてなしは夢みたいに感じます」
なかでもオレリアンさんが感激した出来事は、来日初日に起こりました。ロッカーに荷物を預け、日本人の友人と合流したオレリアンさん。あとで荷物を取りにいったところ、ロッカーは空っぽで荷物がなかったのです。実は、ロッカーを閉める際に自分が荷物を入れたところとは異なるロッカーを間違って閉めてしまっていたのだそう。
「絶望でした。何もなくなってしまったって……。でも友人は全然焦っていなくて、『大丈夫、大丈夫』って言うんです。警察に連絡したら『荷物届いてますよ』って! 驚きました。交番へ荷物を取りにいきましたが、何かが盗まれていることもなく、ロッカーを閉めたときと同じ状態で荷物が見つかりました。フランスだったら考えられません」
来日初日の予期せぬ出来事は、日本人の優しさや思いやりで乗り越えることができたオレリアンさん。まだ日本語も話せないなかで日本人の優しさが身にしみ、「日本に住みたい」と思う大きな出来事だったといいます。
フランスは個性、日本は協調性を重視する社会
オレリアンさんは、7年前にフランス・ニースから来日しました。大好きな日本とはいえ、来日当初は理解できないことももちろんあったそうです。
「夜中の2時は全然車が通っていません。でも赤信号だったら、日本人は信号が青になるまで待ちますよね。僕からすると『車がまったく通っていないのにどうして待つんだろう。なんで?』って思います。でもそれがルール。今はそういうことも含めて日本が大好きです。僕も守っています。これこそ日本人が持つ協調性。みんな一緒の国に住んでいるんだから、協力してルールも一緒に守ろうって」
目を輝かせながら、オレリアンさんは力説します。自己主張が強い母国・フランスでは、なかなか目にできない光景なのだそうです。
「自分が今フランスに戻ったら、逆にカルチャーショックを受けてしまいそうです(笑)。フランスだったらみんな自分のことしか考えないので、俺、俺、私、私って。日本人はお店に外国人が来たら、自分たちの言葉ではないのに『Hello』とか『Thank you』って言ってくれるし、本当にみんな優しい」
日本が大好きだからこそ、日本人に忘れてほしくないことをYouTubeで発信し続けているというオレリアンさん。登録者数の97%が日本人の「Bebechanチャンネル」は、私たち日本人が見失いがちな日本の魅力を再発見・再認識させてくれる場だからこそ、登録者数も伸び続けているのかもしれません。
フランス・ニース出身の34歳。2016年に来日。2018年から「Bebechanチャンネル」を妻・ことみさんとスタートしたが、一時休止。2020年からひとりで同チャンネルをリスタート。現在は登録者数32.3万人。
(Hint-Pot編集部)