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【海外が見た日本人】日本のトイレは「傑作」 海外からの旅行者が絶対話題にするのはなぜ? 英国人記者が驚いた点とは
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日本で暮らしていると忘れがちな、日本の美徳や素晴らしさ。来日した外国人の目にはどのように映っているのでしょうか。日本在住歴がある、元PAスポーツ通信アジア支局長で英国人記者のマイケル・チャーチさんが、海外の旅行者が絶対に話題にするという「日本文化の傑作」について紹介します。外国人にとって、日本らしいクールさの象徴とは。
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おいしいごはんや旅先でのふれあい以上に海外旅行者の心に残るもの
私は過去に約3年間、日本に住んだことがあり、現在も仕事のプロジェクトの関係で定期的に足を運んでいます。初めて来日したときは、100回以上日本行きのフライトを経験するとは思いませんでした。そして、日本で過ごした日々はいずれも忘れがたいものです。
私を含め、日本を旅したことがある外国人旅行客が集まると、おいしいごはんの思い出や旅先での優しいふれあいなどで盛り上がります。なかでも絶対に話題になり、「あれはすごい!」と意見が一致するものが。
それは「日本のトイレ」です。個人的には、日本文化が生み出した「傑作」だと思っています。
1996年に初体験 温水洗浄便座に感動
私が最初に日本のトイレを体験したのは、1996年でした。当時、ベルマーレ平塚というサッカーチームに所属していた中田英寿さんのインタビューのため、神奈川県の「大磯プリンスホテル」に宿泊しました。
ホテルの巨大なプールとともに印象に残ったのは、暖房と温水洗浄便座が付いたトイレだったのです。それは衝撃的でした。
今住んでいる香港でも、ホテルや公衆トイレで出合うことはめったにありませんし、先日帰省した北アイルランドのベルファストでは発想すらないでしょう。日本人らしい“おもてなし”を伝えるための精密技術が、まさかトイレにまで及ぶとは思いも寄りませんでした。
日本のクールさを象徴するものこそがトイレ
日本人相手や日本でのプロジェクトでは、集中力の高さや丁寧さ、きめ細やかさを感じるシーンによく出合います。細部をとことん突き詰めるのは日本人の国民性で、ほかの国と違いを示す部分でしょう。
機能性だけでなく、フォルムも美しい日本のトイレ。比類ないほどの美しさは、完璧さを追求する日本人の完成度を求める思いが生み出したのだと思います。そのため、海外からの訪問者の目にはクールさを象徴するものに映っているのです。
(マイケル・チャーチ)
マイケル・チャーチ(まいける・ちゃーち)
キャリア30年を誇る英国人ジャーナリスト。英PAスポーツ通信のアジア支局長などを歴任し、サッカーのワールドカップ7大会連続取材。コラムニストとしても各国で活躍中。