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「ジャガイモは太る」は誤解? 女性にうれしい驚くべき栄養素とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

意外に低カロリー? ジャガイモ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
意外に低カロリー? ジャガイモ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ジャガイモは糖質が多く、油で揚げたフライドポテトのイメージから、高カロリーで「太る」印象があるかもしれません。しかし、実は豊富な栄養素を含み、女性にうれしい食材のひとつ。上手に活用して暑さを乗り切りたいですね。ジャガイモについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

実は低カロリー 熱に強いビタミンCがたっぷり

 ジャガイモの名の由来は、ジャカルタから伝わったのが由来なのだとか。馬に付ける鈴に似ていることから「馬鈴薯(ばれいしょ)」とも呼ばれます。安土桃山時代から江戸時代にかけて伝来し、当初は観賞用とされ、食用として普及しませんでした。現在は「男爵」や「メークイン」「キタアカリ」などさまざまな品種が楽しめます。

――ジャガイモのエネルギー(カロリー)はどのくらいでしょうか? ごはんと変わらないですか?

和漢さん(以下、同)「日本食品標準成分表2020年版によると、100グラムに対してごはんは156キロカロリー、蒸したジャガイモは76キロカロリーで、ジャガイモのほうが少ないです。1回に食べる量で比較すると、ごはん茶碗軽く1杯が150グラムで230キロカロリー、ジャガイモ1個を200グラムとしても約150キロカロリーで、ごはんの2/3のエネルギー(カロリー)となります」

――高カロリーのイメージがありましたが、そのようなことはないのですね。そのほかに、ジャガイモの注目すべき栄養素はありますか?

「3つあります。ひとつ目は、なんといっても熱に強いビタミンCです。野菜や果物に含まれるビタミンCは熱に弱く、加熱により損失しますが、ジャガイモに含まれるビタミンCはでんぷんに包まれているため壊れにくく、損失が少ないといわれています。ビタミンCには抗酸化作用があり、生活習慣病や免疫機能の向上に期待できるでしょう。また、美肌成分であるコラーゲンの生成に必要な栄養素でもあります。ふたつ目は食物繊維です。水溶性と不溶性をバランス良く含み、血糖値やコレステロール値の上昇の抑制、整腸作用、便秘予防も期待できます。みっつ目はカリウム。余分な水分やナトリウム(塩分)を排出するため、浮腫みや高血圧が気になる人に良いミネラルです」

ジャガイモは熱によるビタミンCの損失が少ない(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ジャガイモは熱によるビタミンCの損失が少ない(写真はイメージ)【写真:写真AC】

――女性にうれしい栄養素がたっぷりですね。ちなみに、1日に食べるのはどのくらいが適量でしょうか?

「米がなかった戦時中は、代用食のひとつとしてジャガイモが食べられていました。主成分がごはんと同じ糖質(でんぷん)であったからでしょう。しかし、現在は主食としてごはんを食べることができます。おかずの一品としていただくのであるならば、目安として1日1個が良いでしょう」

――ダイエットをしていて気になる場合、ジャガイモの良い食べ方はありますか?

「蒸したりゆでたり、あとは電子レンジで加熱し、塩コショウやスパイスを使った味付けが良いでしょう。ダイエット中の人にマヨネーズやバターはおすすめできません。エネルギー(カロリー)の高い脂質が多く含まれているからです。油脂で揚げるフライドポテトも、同様の理由でおすすめできません」

――1日に食べる野菜の目標量は350グラムといわれています。ジャガイモを食べたら目標量に届くと思うのですが……。

「実は、ジャガイモは野菜ではあるのですが、野菜ではないのです。食品標準成分表では食品を18分類しており、ジャガイモは『野菜類』に含まれず『いも・でんぷん類』に分類されています。ここでいう野菜に期待されているのは、ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含み、体の調子を整えて生活習慣病を予防する点と考えられます。ジャガイモはほかの野菜に比べると、明らかに糖質(でんぷん)を多く含み、米の代用食にもなるほどです。エネルギー供給源になるイモ類は区別しているのでしょう。バランス良く食べることを心がけることが大切です」

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾