漫画
不用品をあげたら警察沙汰に 子どもの頃の実体験漫画に考えさせられる 「大人でもゾッとする」
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もし、いらないものを「譲ってほしい!」と言われたらどうしますか? 何か役に立つのなら……と譲ることもあるでしょう。しかし、見知らぬ人からそうしたお願いをされた場合は注意が必要です。30年前の教訓を描いた実体験漫画が、インスタグラムで注目を集めています。子どもたちにはどのように注意を促していけばいいのでしょうか。作者の田辺ヒカリさんに詳しいお話を伺いました。
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見知らぬ男性に不要な本をあげたところ…
5歳の娘・まめこちゃんの育児や一緒に暮らす4匹の猫とのエピソード、グルメ漫画などをアンソロジーコミックで発表している田辺さん。作品はツイッター(@hikari_tanabe)やインスタグラム(tanabehikari)でも公開されています。
今回、インスタグラムで話題になったのは、田辺さんが30年前に体験した実際のエピソードです。「不用品を人にあげたら警察から電話がかかってきた話」というタイトルの漫画には、小学生時代の田辺さんが登場します。
田辺さんは翌日の廃品回収に備え、不要になった本を束ねて玄関先に出していました。そして、作業を終えてひとり休んでいると「ピンポーン」と玄関の呼び鈴が鳴り、見知らぬ男性が訪ねてきました。そして、男性は田辺さんにあるお願いをします。
「外に置いてある本なんですけど……。良かったらいただけませんか?」
ニコニコ顔の男性にお願いされた田辺さんは、「どうせ明日には捨てるもの」と思い「いいですよー!」と即答。その出来事があった夜、念のため母親にも報告しましたが、とくに気にも留めていない様子だったそうです。
いい人そうだったのに…母になった今、教訓をいかして娘に伝えたいこと
ところがそれから数週間後、田辺さん宅に一本の電話がかかってきます。母親が出たところ、なんとそれは警察から。田辺さんに関する話のようでしたが、まったく心当たりがない田辺さんはやりとりを聞きながら青ざめてしまいます。そして、電話を終えた母親から衝撃の言葉が……。
「あんたの教科書やノートが山に不法投棄されてるって」
ふと田辺さんの頭によぎったのは、数週間前に訪ねてきた見知らぬ男性でした。田辺さんの憶測ではあるものの、男性は売れそうな本を売り、売り物にならない教科書などは山に遺棄したのでしょう。まさか、共犯になるのでは? と震える田辺さん。しかし警察は、教科書に書かれた田辺さんの名前を見て「何か事件に巻き込まれていないか」という確認のために連絡をくれたとのこと。
大事にはならなかったものの、いい人そうだった男性の裏切りに幼い田辺さんは傷付きます。そして、大人になりまめこちゃんが生まれた今は、その教訓をもとに「たとえいらないものでも、知らない人にむやみに渡してはいけない」と教えていきたいと考えているそうです。
30年経った今でも人生の教訓だという実体験を描いた漫画は、2つの投稿にわたって公開されると約1000件の“いいね”を集めて話題に。リプライ(返信)には「悪い大人って、逆に人が良さそうな顔して近づいてくるんだよね」「人の行為を仇で返すとは」「大人の立場で考えてもけっこうゾッとしますね……」「ちょっと怖い展開でした」「勉強になりました」など、多くの人からの関心が寄せられました。
悪い大人に遭遇後、「自分で判断しかねることは、潔く親や身近な大人に聞く」
作者の田辺さんに、詳しいお話を伺いました。
Q. 今回のエピソードを漫画に描いた理由は?
「ずっと心のモヤモヤとして残っていたので、少しでも気持ちを昇華できればと思い描きました」
Q. 警察から電話がかかってきたときは、どのような気持ちでしたか。
「警察から電話なんて子どもからしたら大事件で、私もなんらかの罪に問われるのではと怯えました。もちろんそれはなかったですけど……」
Q. 当時、お母様からこの出来事について注意などを受けた記憶はありますか?
「両親ともにとくに何も言わなかったと記憶しています。実はこの件について最近、両親に改めて聞いてみたのですが、すっかり忘れていました(笑)。でも兄弟たちは覚えていて、『そんなことあったね~』と笑い合いました」
Q. この出来事の前後で、田辺さん自身に変化は?
「今のご時世だと当たり前になりましたが、いらないものを捨てるときでも、個人情報になるものは塗りつぶしたり細かく切ったりしています。また、『これってどうなんだろう?』と自分で判断しかねることは、潔く親や身近な大人に聞くようになりました」
Q. 今回の教訓を娘さんに伝える際、どのようなことをお話ししていますか?
「『わからないことはお父さんお母さん、大人に聞くこと』。あと防犯の面からも『普通の大人は子どもに聞かない。知らない大人に何か聞かれたら、それもお父さんとお母さんにすぐ教えてね』と伝えています。まだ幼くピンときていないかもしれませんので、これは事あるごとに繰り返し伝えようと思っています」
(Hint-Pot編集部)