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トマトの保存方法は季節によって変わる? 旬のおいしさを長持ちさせるコツとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

真っ赤なトマト(写真はイメージ)【写真:写真AC】
真っ赤なトマト(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 トマトをまとめ買いしたり、もらったりしてすぐに食べ切れない場合、どのように保存していますか? トマトといえば、強い抗酸化作用で知られるリコピンをはじめ、優れた栄養面も魅力の野菜。正しい保存方法で、栄養を逃さずおいしく食べたいですよね。そんなトマトについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

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トマトの栄養 何がすごい?

 トマトの起源には諸説ありますが、南米ペルーを中心としたアンデス高原という説がもっとも有力です。メキシコや北米に伝わり、大航海時代の16世紀頃、ヨーロッパに広がったとされています。日本には江戸時代に観賞用として伝来。食用になったのは明治以降ですが、実は一般家庭に広まったのは昭和に入ってからです。

 トマトの栄養成分といえば、赤色の色素であるリコピンが広く知られています。活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があり、生活習慣病の予防に期待される成分です。脂溶性のため油と相性が良く、加熱することで細胞壁が壊れるので、吸収率が高まるとも。また、赤く熟したほうが糖度やリコピンなどの栄養価も高まります。

 リコピンだけでなく、トマトにはビタミン、ミネラルがバランス良く含まれています。体内でビタミンAに代わり、皮膚や粘膜を強くしてウイルスの侵入を防ぐ働きをするβカロテン、コラーゲンの生成を促すビタミンCや体内の余分なナトリウムや排出を促すカリウムも豊富です。便秘改善に役立つ食物繊維のペクチンも含まれています。トマトの酸味はクエン酸、うま味は昆布と同じグルタミン酸です。疲労回復や食欲増進にも期待できます。体を冷やしてくれるので、蒸し暑さで食欲が減退しやすい時期にぜひ取り入れたい食材です。

保存のコツは? ヘタの向きにも注意

冷凍保存したトマトはラタトゥイユなど加熱調理に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
冷凍保存したトマトはラタトゥイユなど加熱調理に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 トマトは15~25度で追熟します。25度を超える夏場とそうでない場合で、保存方法を変えましょう。高温多湿の夏場は、購入してきたら冷蔵庫の野菜室で保存。夏場以外は、常温保存で追熟させるのがおすすめです。トマトは冷やしすぎると風味が落ちてしまいます。冷やして食べたい場合は、食べる1時間ほど前に冷蔵庫の野菜室で冷やすと良いでしょう。

 常温、野菜室いずれの場合も、乾燥を防ぐためキッチンペーパーなどに包み、ヘタを下にして保存するのがポイントです。トマトはやわらかく、重さでつぶれて傷みやすい野菜。しかし、ヘタの周りは比較的しっかりしているので、そちらを下にしたほうが安定します。

 ちなみに、ヘタの部分はおいしいトマトかどうかを見分ける目安にもなります。選ぶ際は、ヘタが濃い緑色でピンと張っているものが良いでしょう。ヘタの近くにひび割れがあるものは、糖度が落ちて味が悪い場合があります。

 大量にあってすぐに食べ切れない場合は、冷凍保存がおすすめです。加熱と同じように細胞壁が壊れるため、栄養成分やうま味成分が出やすく吸収率が高まります。水洗いして水分を拭き取ったら、丸ごとの場合はヘタをくり抜き、カットする場合はざく切りにし、冷凍保存用の密封袋に入れて冷凍室で保存。生食よりも加熱調理に向き、旬のおいしさも長持ちしますよ。1か月ほどを目安に使い切ると良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)