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「トマトが赤くなると医者が青くなる」理由 栄養を効率良くいただく3つのコツ
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教えてくれた人:和漢 歩実
夏野菜の代表といえば、トマトでしょう。日本の一般家庭の食卓で親しまれ急激に広まったのは昭和になってからですが、欧州では値打ちのある食材として古くから食べられてきました。栄養を効率良くいただくために、おいしい食べ方、選び方、保存のコツを栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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ビタミン、ミネラルをバランス良く含む 暑い季節に食べたい
赤い色とさわやかな酸味が特徴のトマト。赤い色はリコピンという成分で、活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防が期待されます。また、コラーゲンの生成を促すビタミンCも豊富で、体内の余分なナトリウムや水分の排出を促すカリウムも含まれています。
必要時に体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強くしてウイルスの体内の侵入を防ぐ働きがあるβカロテン、便秘改善に役立つペクチンも含まれています。トマトの酸味の主成分であるクエン酸は疲労回復や食欲を増進させる働きがありますので、暑い時期の食卓にぜひ取り入れたい食材です。
このようにビタミン類やミネラル類などをバランス良く含んでいるので、欧州には「トマトが赤くなると医者が青くなる」といったことわざがあるほど。日本では生で食べることが多いですが、うま味成分が豊富なので欧州ではソースやスープなど煮込み料理に、または調味料として使われることも多いです。
加熱すると吸収率が上がるとされる栄養とは
栄養をいただく1つ目のコツとしては、生食だけではなく調理に幅広く使うと良いでしょう。特に、注目の栄養成分であるリコピンは脂溶性であるため、油を使って調理した方が吸収率が高まるといわれています。また加熱することで細胞壁が壊れるので、リコピンを吸収しやすくなります。
トマトソースとオリーブオイルを使ったパスタや野菜たっぷりのラタトゥイユ、ミネストローネはいかがでしょうか。夏に冷たいものばかり食べていて冷えが気になる場合も良いでしょう。火を入れるとうま味や甘味がアップします。
トマトのうま味成分は昆布と同じグルタミン酸です。イノシン酸のうま味成分を持つカツオ節のだしにトマトを具材として使うとうま味の相乗効果で一段とおいしく感じることができます。卵と一緒にかきたま汁にしてもおいしいでしょう。
種の周りのゼリー状部分には、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれているといわれています。