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諦めない心がつかんだ合格 気象予報士試験に8度目で合格できた勉強法

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

合格率は約5% 難関試験で合格を勝ち取る方法

 気象予報士の資格試験には「学科」と「実技」の2つの分野があり、学科はさらに「予報業務に関する一般知識」と「予報業務に関する専門知識」の2つの教科に分かれています。年に2回開催され、近年の合格率は5%前後の難関試験。教科別に合格すれば1年間は試験が免除されることから、一発合格を狙わず、ひとつずつ合格を勝ち取る方法で資格取得を目指す受験者が多いそうです。

 早田さんも、その方法でひとつずつクリアしていったといいます。

「2回目の試験で学科がひとつ合格したんです。そして、3回目でもうひとつの学科が合格して、学科をクリア。実技の勉強に専念していたんですけど、4回目の試験で落ちたので、最初に合格した学科のひとつを再度受験しなければいけなくなって……」

 大学1年生から試験を受け始め、最後の試験となる4年時、通算8回目の試験で、なんとかすべての合格を勝ち取ることができました。

 ただ、早田さん自身は文系出身。地学を学んでいた頃からすでに4~5年が経過しており、「最初の1年目は、気象用語や数式を覚えるだけで終わりました。本当に大変でしたね」と振り返ります。

 勉強不足だったことから「落ちてもしょうがない」と割り切っていたのは、4~5回目の受験まで。それを超えると「もうこれ以上、勉強することはないと思っていた」と語ります。

「過去問題だってもう何十回も解いているし、これだけ勉強してるのになんで落ちるんだろう? って思うわけです。そうやって周囲の人たちは3回目ぐらいで諦めていくんです。でも、私はそもそも3年遅れて大学に入学していたので、諦めてもあとがないし、これで生きていくと決めていました。もう一度、実技試験の何がダメだったのかを分析し直したんです」

 大学の講座で一緒に学び始めた仲間は7人いましたが、途中でやめていき、最終的に合格を手にしたのは早田さんひとりだけでした。

資格試験突破のために必要なこと

 授業がない日は、朝から夜のアルバイトの時間まで学校の図書館で勉強漬け。もっともつらかったのは「メンタル維持」だと即答します。

「やっぱり試験に落ちると落ち込むじゃないですか。1~2回だといいんですけど、3回、4回、5回……と続いていくと、もう絶対に無理なんじゃないか、一生受からないんじゃないかって本当に落ち込むんです」

 そんな早田さんの心の支えになったのが、勉強仲間でした。経済学部の同期で、大学に入学して最初に仲良くなった女性が同じく気象予報士を目指していると知り、一緒に勉強を行っていました。

「彼女との勉強は切磋琢磨というか、すごく心の支えになっていました。問題集を貸し借りしたり、この問題集が良かったよと情報交換したり、問題の解き方を教え合ったり……。彼女がいたからこそ、私は気象予報士になることができたんだと思っています」

 さらに、諦めないことが夢の実現につながることも実感したといいます。

「諦めずに頑張り続けたら、どこかで合格するのかもしれないですけど。何かを実現できた人とそうでない人の違いって、諦めずに続けたか、諦めてしまったか、ただそれだけなんじゃないかってことに気づきました。やり続けていると、勝手に周りが諦めていってくれるんですよね」

 気象予報士を本気で目指し始める前までは、自分も“諦める側”にいたという早田さん。「強くやりたいものができた」からこそ続けることができたと分析します。

「本当にやりたいことがあるか、ないかの違いなんです。高校生の頃は、目標が見えなかったから私もわからなかった。でも、目標が明確になると、やることもすごく明確になったと思います。おかげで今は毎日、仕事がめちゃくちゃ楽しいです」

 諦めなければ、なりたい自分になれる。早田さんの諦めない強い心は、躊躇する私たちの背中をそっと押してくれているようです。

◇早田蛍(はやた・ほたる)
熊本県生まれ。高校生のときに気象予報士を志すも、大学受験に失敗しフリーターに。しかし「一生やりたい仕事ってなんだろう?」と一念発起し、福岡大学経済学部に入学。1年生のときから再び、気象予報士を目指して勉強をスタートする。4年時の3月、8回目の試験でようやく合格し、見事、気象予報士の夢を実現させた。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)