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仕事・人生

高卒時は大学進学せず…その後に公認会計士試験一発合格した女性の頑丈マインド

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著者:柳田 通斉

公認会計士の大場睦子さん【写真提供:大場睦子】
公認会計士の大場睦子さん【写真提供:大場睦子】

 公認会計士の大場睦子さんは、高校卒業前に大学を受験しませんでした。手に職をつけた上での起業を目指していたからです。そして、美容系の専門学校に進み、エステティシャンの仕事に就きました。しかし、体調の問題で転身を余儀なくされ、金融会社勤務を経て早稲田大学の商学部に編入学。学問に集中できる環境になり、在学中には公認会計士試験に合格しています。そんな異色のキャリアを歩んだ理由とは……。大場さんの“目標にまい進できるマインド”に「Hint-Pot」が迫りました。

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「手に職をつけて」起業を目指すも壁…金融を学ぶことに

 35歳の大場さんは、自分で明確な目標を決め、流されることなく人生を歩んできました。高校時代もそう。進学校で大半が大学を目指す中、迷いなく専門学校に進むと決めていました。

「当時の私は、『ただ何となく大学に入っておけばいいか』という進路の決め方をしたくなく、『早く手に職をつけて自分の力で社会に貢献していきたい』と思っていました。幼少期から祖父母、両親に肩や足のマッサージをしていて、『すごくうまいよ』『才能がある』と言われ、『これだったらみんなに喜んでもらえる』と思い、美容系の専門学校に入ったんです」

 2年間の学びを経て、エステティシャンとして歩み始めました。「将来は自分の会社を設立する」という信念のもと、スキルとサービスの向上に努める日々。ところが1年が過ぎた頃、どうすることもできない壁に当たることに……。

「体調面の問題から、志半ばでこの道を諦めることになりました。つらかったです。ただ、他の事業で勝負できるのかを考えた時、まずは金融の世界に入り知識をつけた上で、人間としてもビジネスマンとしても幅を広げていこうと思いました」

 22歳になっていた大場さんは、2008年10月から信用金庫に勤務。法人融資の部署に配属されました。

「1部上場会社を相手にした営業、財務諸表の評価などを担当する部署です。希望通りの配属で、営業のサポートから入りました。知らない用語は隙間時間に調べ、先輩方が貸してくださる本でも学びました。そして、お金の流れ、お金を貸す意思決定の形を理解していきました」

 狙い通り、大場さんは現場で多くのことを学んでいきました。一方で、自身の力不足を感じるようになったといいます。

「一流ビジネスマンの方々が、一般教養的にも専門的にもレベルの高い話をされている中、『自分はこんな知識がないのか』と思うことがありました。その後は何日もの間、『このままでいいのか』『いいわけない』『どうする』と自問自答。そして、会計と経済、経営などを付け焼き刃でなく『学問として根本的に学びたい』と思うようになりました」