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パセリは食べる? 食べない? 料理に添えられる理由や栄養メリットを聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

料理に添えられているパセリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
料理に添えられているパセリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ハンバーグやエビフライなど、洋食の料理に添えてあるパセリ。料理に彩りを添える“名脇役”のような存在で、残さず食べるか食べないかはそれぞれの好みで分かれるところ。実は、パセリには優れた栄養が含まれています。栄養メリットを考えると、食べたほうが良さそうですが……独特の香りも気になります。いまさら聞けないパセリについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

油脂を多く含む洋食と相性バッチリ

 パセリはセリ科の野菜。地中海沿岸を原産地とし、古代ローマ時代から香辛料として用いられてきたハーブのひとつです。日本には18世紀末に伝わったとみられています。「オランダゼリ」と呼ばれ、洋風の料理に添えていたようです。一般的な日本のパセリといえば、葉が細かくカールして丸みのあるカーリーパセリ。ヨーロッパでの主流はイタリアンパセリで、葉が平たい形をしています。

――そもそも料理にパセリを添えるのは、どんな理由があるのでしょうか?

和漢さん(以下、同)「次の2つの理由が考えられます。ひとつは料理の彩りを良くすることです。茶色を主流とした主菜に鮮やかな緑色のパセリを少し添えることで見栄えが良くなり、ぐっと食欲をかき立ててくれます。もうひとつは、パセリの香り成分の作用です。パセリの香りは好みが分かれますが、独特の香り成分であるアピオールには消化促進、疲労回復、口臭予防効果が期待されています。油脂を多く含む洋食料理と相性が良いです」

――そうなると、付け合わせのパセリは食べたほうが良さそうですね。

「もちろんです。残してしまうのはもったいないので、ぜひ残さずに食べてほしいですね。お口直しはもちろん、付け合わせだと量は少ないですが、栄養価においても食べることをおすすめします。パセリには美容と健康の維持には欠かせないβカロテンをはじめ、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています」

――1日に食べる適量などはあるのでしょうか?

「1日に食べるパセリの適量についてはとくに決められていませんが、香り成分のアピオールは、一度に大量に摂取すると内臓に負担がかかるといわれています。パセリが主役にはなれず脇役として添えられているのは、先人の知恵からきたのかもしれません。胃腸が弱っているときや、とくに妊娠中の方は食べすぎに気をつけて、料理に添えられている程度を食べましょう」

βカロテンを摂取するなら油と一緒に

(左から)イタリアンパセリとカーリーパセリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
(左から)イタリアンパセリとカーリーパセリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

――日本のパセリといえばカーリーパセリですが、近年店頭で見かけるイタリアンパセリと違いはありますか?

「栄養価に大きな違いはありませんが、形状、味、風味などが異なります。一般的なカーリーパセリは葉が縮れているため、平たい葉のイタリアンパセリに比べると硬め。香りや苦味も強く、癖があります。好みもありますが、イタリアンパセリのほうが食べやすいかもしれません」

――家庭でパセリひと株を購入する際、選び方や保存のコツを教えてください。

「葉が細かく縮れていて、鮮やかで濃い緑色のものが新鮮です。茎はみずみずしくハリがあるものを選びましょう。買ってきたら、袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するか、水を入れたコップに差し、ポリ袋をかぶせて冷蔵庫保存も良いでしょう。みじん切りにして、冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保存しておくのも便利です」

――パセリの栄養をとるには、どのように食べるのが良いでしょう?

「カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルやβカロテンは熱に強い栄養素ですが、ビタミンB群やCは熱に弱いです。くまなく栄養をとるならば、生で食べると良いでしょう。βカロテンは脂溶性なので、マヨネーズやドレッシングをかけると吸収率がアップします」

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾