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どうぶつ

「もう少し一緒にいて…」 虹の橋を渡った1歳の愛猫へ 日本人記者が送るメッセージ

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

元保護猫のサツキとココロはいつも一緒【写真:島崎英純】
元保護猫のサツキとココロはいつも一緒【写真:島崎英純】

 どんなに大切に育てていても、いつか訪れる愛猫との別れ。限られた時間のなかで、精一杯の愛を注ぐことが飼い主の使命です。ドイツで暮らし、2匹の愛猫を育てるサッカーライターの島崎英純さんは先日、悲しいお別れを迎えました。虹の橋を渡った大切な“家族”へ、メッセージを送っています。

 ◇ ◇ ◇

元気いっぱいの愛猫に異変 すぐさま病院へ

 本連載の読者のみなさまにご報告があります。僕の愛猫である「皐月(サツキ)」が、6月初旬に突然体調を崩してしまいました。その日のサツキは、朝も昼もほとんど食事を取らず、キッチンのテーブルの下にずっと突っ伏したまま。普段は活発で、よく食べるサツキの元気がない姿に不安を覚え、行きつけの動物病院で診察してもらうことにしました。

 対応してくださった獣医さんはサツキをひとめ見て異変を察し、すぐに体温を計りました。すると、40度近くを示したため、血液検査を実施。赤血球の著しい減少がみられ、重度の貧血と診断されました。

「このままでは最悪、死に至ってしまう」とのことで、即時入院。しかし翌日、その動物病院では対応に限界があるということで、自宅から約60キロ離れた距離にある大学付属の動物病院へ転院となりました。

 大学動物病院で再び診察を行ったところ輸血が必要と判断されましたが、サツキの血液に合う猫の輸血ドナーを見つけられず、やむなく犬の血液を輸血して症状の改善を目指しました。

病名は「免疫介在性溶血性貧血」 輸血で一時をしのぐ

 大学病院に入院してからは血液検査、X線検査、骨髄検査などの各種精密検査を実施。その結果、サツキは「免疫介在性溶血性貧血」という難病に罹患していることがわかりました。

 この病気は、本来感染症ウイルスや炎症などを撃退する自らの免疫が、生きるために必要な赤血球をも破壊してしまうものだそうです。その治療方法は、輸血による赤血球の増加で一時をしのぎ、その後は免疫を抑制するステロイド剤などの投薬を一定期間続けて症状の改善に努めるしかないと説明されました。

 僕としては、長期にわたる通院と投薬治療によってサツキの症状が改善され、再び穏やかな生活が送れるのならばと彼女に寄り添う覚悟を決めていました。そして入院から1週間後、血液検査の数値が改善傾向にあるので退院できるとの連絡が。僕は大学病院へ赴き、投薬治療のレクチャーを受けたあと、サツキを連れて自宅へと戻りました。

 大学病院から自宅へ戻るまでの車中で、サツキはずっと苦しそうな鳴き声を上げていました。早くサツキを安心させてあげたいという思いで、急いで帰宅。キャリーケースの扉を開けると、サツキはゴロゴロとのどを鳴らしながら僕の元へ駆け寄り、膝の上に乗って頬をすり寄せてくれました。