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からだ・美容

鼻に水が入るとツーンと痛くなるのはなぜ? プール後は鼻炎に注意を 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:鈴木 香奈

子どもに人気の習い事である水泳。鼻炎には注意を(写真はイメージ)【写真:写真AC】
子どもに人気の習い事である水泳。鼻炎には注意を(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 水泳中にプールの水が鼻に入り、ツーンという独特の痛みを感じたことがある人は多いでしょう。痛みはなぜ起こるのでしょうか。また、病気につながらないのか心配なことも。そこで、プールの水が鼻に入ったときの対処法について、耳鼻咽喉科・アレルギー科の鈴木香奈先生が解説します。

 ◇ ◇ ◇

体液と水道水の塩分濃度の違いが原因

 鼻にプールの水が入って痛くなるのは、塩分濃度の違いが原因です。人間の細胞を満たす体液には塩分が含まれており、濃度は0.9%。水道水の塩分濃度は0.1%程度なので、浸透圧が生じて濃度の薄い側から濃い側に水が偏ります。そのため、鼻の粘膜細胞が膨張し痛みを感じるのです。目を水道水で洗った場合に痛くなるのも同じ理由になります。

 医療行為でよく使用される生理食塩水は、ヒトの体液とほぼ等張にされた塩化ナトリウム水溶液。これを体温程度に温めたものならば、鼻の中を洗浄しても痛くなりません。浸透圧と温度が鼻の粘膜の表面と同じように調整された液体であれば、痛くはならないのです。しかし、鼻の粘膜に炎症があると、生理食塩水を使用していても鼻の中が痛くなることがあります。

鼻うがいをする際の3つの注意点

 プールの水が鼻に入ることで、病気につながることがあります。塩素で鼻粘膜が障害されたことによる鼻炎、プールが原因の鼻炎や後鼻漏から起こるのどの感染、プール内の微量なゴミなどによるハウスダストアレルギーなどが考えられるでしょう。

 とくにアレルギー性鼻炎がひどい方などは、プールから上がったあとは鼻洗浄(鼻うがい)したほうがいいと思います。その際は、微温湯(40度くらいの人肌程度)に温めた生理食塩水で洗浄してください。生理食塩水は自分で作ることもできます。塩分濃度0.9%の食塩水を作ればいいため、500ミリリットルの水に対して、小さじ1程度の塩を溶かすだけです。

鼻うがい専用器具(写真はイメージ)【写真:写真AC】
鼻うがい専用器具(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 または、市販されている鼻洗浄専用の液と器具のキットを使うと手軽でしょう。鼻うがいをする際には、いくつかの注意点があります。

・上を向かない
 大きく上を向いてうがいすると、洗浄液が耳に入ってしまうため。

・洗浄液を勢い良く押し出さない
 勢い良く注入すると、鼻の粘膜を傷付けたり、耳に水が流れ込み中耳炎を起こしたりする危険があるため。

・やりすぎに注意
 1日2回程度まで。やりすぎで鼻の粘膜を傷付けて逆効果になることも。

 鼻は耳やのどにつながる大切な器官です。違和感を覚えた場合は、早めに病院で受診するようにしましょう。

(Hint-Pot編集部)

鈴木 香奈(すずき・かな)

金沢駅前ぐっすりクリニック院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。1996年、金沢医科大学卒業。睡眠時無呼吸症候群を核に一般耳鼻咽喉科診療を行う。