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サクランボを食べすぎると下痢になるって本当? 保存のコツや見分け方 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
見た目がかわいらしく、おいしいサクランボ。食べやすいので、つい食べすぎてしまうことも。カロリーや糖分など、問題がないのか気になるところです。また、食べすぎると下痢になると聞きますが、本当なのでしょうか。そのほか見分け方や保存のコツなど、旬のサクランボについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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主成分は糖質 ビタミン各種やミネラルも
初夏の果物、サクランボ。国産のものは山形県をはじめ、青森県や山梨県などでも栽培されています。有名な品種は「佐藤錦」。甘みと酸味のバランスが良く、繊細な味わいが特徴です。日本では明治時代の初期から本格的に栽培されるようになりました。桜桃の実ですが、サクランボの名は桜の実を意味する「桜ん坊」が由来している説もあります。
――サクランボには、どんな栄養が含まれているのでしょうか?
和漢さん(以下、同)「主成分は糖質です。果糖とブドウ糖がバランスよ良く含まれていますね。そのほか、ビタミンCをはじめ各種ビタミン、カリウムやリン、鉄などのミネラル、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸が含まれており、疲労回復や美肌作用、高血圧の予防効果などが期待されています。また、赤紫の果肉であればポリフェノールの一種、抗酸化作用の強いアントシアニンも含まれており、目の健康効果も。一般に果物は水分が多いため体を冷やすといわれますが、薬膳においてサクランボと桃は体を温めるといわれています」
――ひと粒が小さいので、あまり気にしないでパクパクと食べてしまいますが、どのくらいの量が適量なのでしょうか?
「果物は1日200グラムほど摂取すると良いといわれています。その数字を基準に、サクランボ1粒を8グラム(廃棄率10%)とすると、約28粒で200グラムとなり、エネルギーは128キロカロリーです。ちなみに、茶碗に軽く1杯(150グラム)よそったごはんは234キロカロリー。数字だけ見るとサクランボのカロリーは低いですが、一度に30粒近く食べるものではありません。また、サクランボだけしか食べないのも栄養バランスが崩れます。適量に決まりはありませんが、旬の味を楽しむ程度が良いでしょう」
――サクランボの食べすぎで気をつけることはありますか? 下痢をするなどといわれていますが、どうなのでしょうか?
「便秘予防で知られる糖アルコールの一種、ソルビトールが含まれているため、そのようにいわれているのだと思います。サクランボに限らず、果物は水分が多いため、どんな果物でも食べすぎれば下痢などの心配は否定できないでしょう」
おいしいものの見分け方や保存のコツ
――おいしいサクランボの見分け方に、ポイントはありますか?
「粒が大きく、色は濃く鮮やかなものを選びましょう。皮は、ツヤとハリのあるものが甘くておいしいです。軸が太く緑色であれば新鮮なものでしょう。サクランボは追熟しないので、白色や黄色みが残っているものは選ばないほうが良いです。また、部分的に茶色っぽく変色があったり、傷が付いたりしているものは避けましょう」
――日持ちしにくい果物のイメージがありますが、保存のコツなどがあれば教えてください。
「店頭で購入したらキッチンペーパーでそっと包み、容器に入れて常温保存するのが良いでしょう。しかし、通販や贈り物などクール便で届いたサクランボは、冷蔵庫の野菜室で保存します。これは、サクランボが温度の変化にデリケートなためです。また、これからの季節は冷凍保存して、シャーベットにして食べるのもおすすめ。水洗いしたら水分を取り除き、冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍庫から出して数分、常温に置いてから食べましょう」
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾