どうぶつ
7月最終金曜日は「世界コアラの日」 記念日に知りたい“知っているようで知らない”コアラのこと
公開日: / 更新日:
毎年7月の最終金曜日は「世界コアラの日」。コアラの保護や研究などを行う非利益団体「オーストラリア・コアラ基金」が制定したものです。記念日にちなみ、“知っているようで知らない”コアラについて理解を深めるべく、国内最多のコアラ飼育頭数を誇る「鹿児島市平川動物公園」(鹿児島県鹿児島市)の飼育員・村上浩一さんにお話を伺いました。同園では、飼育数通算100頭目の子コアラ「タイヨウ」がもうすぐ1歳に。好奇心旺盛な姿が話題になっています。(編集部注:コアラに関する記念日はほかにもあります)
◇ ◇ ◇
コアラの個体数は年々減少
コアラはオーストラリアに分布する動物ですが、同国が日本人にとって人気の旅行先であることや、お菓子のモチーフに起用されていることなどから、日本国内でもポピュラーな存在と言えるでしょう。ぬいぐるみのような姿がとても愛らしいですよね。
しかし、コアラについて知っていることを挙げていくとどうでしょう? ユーカリを食べていることや、木の上で暮らしていることは有名ですが、意外に知らないことが多いかもしれません。
実は、コアラの個体数は年々減少中なのだとか。専門家によると、2016年の統計では30万頭以上がオーストラリア国内に生息しているとされていました。しかし「オーストラリア・コアラ基金」が2019年に出した報告によると、正確な数の把握は難しいものの、同国本土に現在生息する野生のコアラは8万頭以下ともいわれています。ちなみに、コアラの毛皮取引がさかんだった20世紀初め頃は、少なくとも300万頭分の毛皮が流通していたそうです。
減少の理由には、ロードキル(道路上での車との衝突死)や犬・猫からの攻撃といった人間の生活圏との近さ、病気や遺伝子異常、そして気候変動による生息地の減少などが挙げられます。2019年にオーストラリアで発生した大規模な森林火災も、コアラが生息地を追われた原因のひとつです。
そうした現状をはじめ、コアラへの理解を深めてもらおうと、同基金は毎年7月の最終金曜日を「世界コアラの日」に制定しました。
鹿児島県の動物公園ではコアラの啓発活動も
鹿児島県にある「鹿児島市平川動物公園」では、コアラへの理解を深めてもらおうと、日頃からイベントや啓発活動が行われています。現在、国内最多17頭のコアラを飼育中の同園に初めてコアラがやってきたのは、1984年。実に40年近く、コアラの日常に寄り添い続けてきました。
昨年8月には、同園が飼育する通算100頭目のコアラが誕生して話題に。父「タイチ」と母「インディコ」の間に生まれた子コアラは男の子で、一般公募した案のなかから「タイヨウ」と名付けられました。
もうすぐ1歳を迎えるにあたり、村上さんは「インディコは初めての出産だったので、無事に産んでくれてうれしかったです。タイヨウが通算100頭目だということは、あとから知って驚きました」と振り返ります。
村上さんによると、タイヨウは社交的で落ち着いた性格だそう。飼育員を怖がることもなく、SNS用の動画を撮影しにきた担当者に向かって手を伸ばすなど、好奇心旺盛な一面を見せています。親離れも徐々に進み、最近では単独行動をとったり、親以外のコアラと過ごしたりすることも増えているのだとか。