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ウナギのかば焼きと白焼き カロリーが高いのはどっち? スタミナ食といわれる理由も
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教えてくれた人:和漢 歩実
梅干しとの食べ合わせや粉山椒が添えられる理由とは?
――梅干しとウナギは食べ合わせが悪く、一緒に食べてはいけないと聞いたことがあります。
「栄養面からは、このふたつを一緒に食べても相性が悪いところはとくにありません。梅干しもウナギと同じ『う』が付く食べ物として、夏の暑さを乗り切るのに好ましい食べ物です。この通説が生まれた経緯は、ふたつの理由が考えられます」
――栄養面ではとくに問題ないものの、理由があるのですね。
「そうです。ひとつは、ウナギの腐敗に気づかないためです。昔は冷蔵庫がなく、食材の保存環境は良くありませんでした。ウナギは腐敗すると酸味が出ますが、酸っぱい梅干しと一緒に食べると気づかないので、一緒に食べないほうが良いといわれるようになったとの説があります。もうひとつは、食べすぎを防ぐためです。梅干しの酸味には食欲を促進させる働きがあります。梅干しを食べると口の中がさっぱりとするので、脂っぽいものでもつい食が進んでしまいがち。ウナギの食べすぎは体に良くないので、それを防ぐために通説が生まれたといわれています」
――そうすると、粉山椒はどうでしょうか? 店頭で売られているウナギのかば焼きに、粉山椒の小袋が付いていることが多いですが、こちらも理由はあるのでしょうか?
「山椒は日本で古くから使われてきた香辛料のひとつです。粉山椒は熟した山椒の実をすりつぶしたもので、ピリッとした辛味にさわやかな酸味があります。ウナギのかば焼きに用いられるようになったのは、昔のウナギは天然物が多く、育った川のエサが影響して臭みがかなり強かったことが関係しているようです。その臭みを消すために粉山椒が添えられるようになり、現在では定番の薬味になったといわれています。ピリッと辛い成分であるサンショオールは、消化を助けることで知られていますね。抗菌効果もあるので、食中毒予防も期待されています」
――ウナギを栄養バランス良く食べるために、合わせて食べたほうが良い食材はありますか?
「スタミナ食といわれるウナギですが、もちろん足りない栄養素はあります。それは、食物繊維とビタミンC。外食だとウナギには肝吸いが一般的ですが、家庭で食べる際はあえて、野菜やキノコを具材にした食物繊維たっぷりのみそ汁と、最後のデザートにキウイフルーツやグレープフルーツなどの果物を添えてみてはいかかがでしょうか。ビタミンCが補えます」
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾