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そうめんはあっさりなのに高カロリー? 栄養士に聞いた健康的な食べ方

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

暑い季節においしいそうめん(写真はイメージ)【写真:写真AC】
暑い季節においしいそうめん(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 冷たくてつるつるとした食感のそうめんは、暑い季節においしい麺類です。食欲が落ちやすい夏は、食べやすさから食卓に登場する機会も増えるでしょう。あっさり食べられることからヘルシーなイメージがありますが、実際のカロリーは低いのでしょうか? また、どのような食べ方をすると良いのかなど素朴な疑問を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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主成分は糖質 単体ではエネルギーになりにくい

 そうめんの原材料は小麦粉、食塩、水です。「手延べそうめん」と呼ばれるものは、小麦粉に食塩水を混ぜてよく練った生地に油を塗り、よりをかけて引き伸ばしたもの。よく似た麺類のひやむぎは、そうめんと原材料も製法もほぼ同じです。違いは太さで、乾麺の状態でひやむぎが直径1.3~1.7ミリ未満なのに対して、そうめんは直径1.3ミリ未満の細いものとされています。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、そうめん1食分(乾麺100グラム)をゆでると308キロカロリーです。精白米を炊いたごはん1杯(150グラム)が234キロカロリーなので、そうめんは低カロリーとは言えません。一度に大量にゆで、食べ切れないものをアレンジすることもあるかもしれませんが、摂取カロリーが高くなりやすいので注意しましょう。

 そうめんの主成分は糖質です。糖質はエネルギーの源になりますが、単体ではエネルギーになりにくく、エネルギーを作るには補酵素であるビタミンB1が必要に。そのため、そうめんだけの食事を続けているとエネルギーが作り出せず、疲れやすくなったり、体調を崩したり、かえって太りやすい体質になってしまうおそれもあります。

栄養バランスを考えてヘルシーにいただく

そうめんに夏野菜や鶏肉など具材をトッピング(写真はイメージ)【写真:写真AC】
そうめんに夏野菜や鶏肉など具材をトッピング(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 めんつゆにネギやミョウガなどの薬味だけといったシンプルな食べ方もおいしいですが、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しがちです。美容や健康を考えれば、糖質などエネルギーになる熱量素のほかに、体を作る構成素(たんぱく質、脂質、ミネラル)や体の調子を整える調整素(ビタミン、ミネラル)も摂取する必要があります。そうめんと薬味だけでなく、ぜひほかの食材と合わせて、栄養バランスの良いヘルシーな一品にしていただきましょう。

 そうめんのトッピングとしておすすめなのは、夏野菜。キュウリにはカリウム、トマトにはカロテンやビタミンC、オクラにはネバネバ成分の食物繊維ペクチンやガラクタンなどが含まれています。

 また、ワカメやめかぶ、もずくなどの海藻類には食物繊維やミネラル、ビタミン類などが豊富に含まれています。キノコ類も食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富なので、そうめんと合わせたい食材でしょう。加熱が必要なキノコ類は、耐熱皿に入れて軽くラップし、電子レンジで加熱すると手軽です。

 たんぱく質の供給には、ビタミンB1が豊富な豚しゃぶをトッピングするのも良いですし、サバやツナなど魚の缶詰を活用するのもおすすめ。魚油には、脳を活性化し、血液をサラサラにする健康効果が期待される不飽和脂肪酸(DHA、EPA)が豊富に含まれていて、そうめんの具材にすることで手軽に摂取できます。

 このほか、植物性たんぱく質の納豆もそうめんに合う食材です。骨の健康に役立つビタミンK、代謝を促進する補酵素ビタミンB2、血栓予防に良いとされるナットウキナーゼなど、健康効果が期待できる栄養素を含みます。卵は、食物繊維とビタミンCを除いたすべての栄養素を含んでいるので、野菜などと組み合わせてそうめんにトッピングするとさらに良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾