食
七夕に食べるそうめん 「古いものが美味」は本当? おいしくゆでるコツも
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教えてくれた人:和漢 歩実
7月7日は七夕。地域によってはそうめんを食べる風習がありますが、どんな由来があるのでしょうか? また「古いものがおいしい」や、茹でているときに「びっくり水」と呼ばれる差し水をするとおいしくなるなどといわれますが、実際のところはどうなのでしょうか? いまさら聞けないそうめんについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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そうめんには新物と古物がある
そもそも七夕は、中国から伝わった行事です。7月7日は「七夕の節句」と言われ、1月7日の七草粥を食べる「人日の節句」、3月3日の「桃の節句」、5月5日の「端午の節句」、9月9日の「重陽の節句」とともに「五節句」と呼ばれます。彦星と織姫の星を祝う祭りで、行事食としてそうめんを食べる地域も。
――七夕にそうめんを食べるようになったのはなぜでしょうか?
和漢さん(以下、同)「古代中国にはもともと、7月7日に無病息災を願って小麦粉と米粉、塩を混ぜた生地をねじって揚げた『索餅(さくべい)』を食べる習慣があったといわれています。七夕が日本に伝わると、索餅をルーツにそうめんが作られ、七夕そうめんとして食べられるようになったそうです。そうめんを糸に見立て、織姫にあやかって機織りや裁縫が上手になる願いをそうめんに託したともいわれています」
――そうめんは、夏の風物詩でもありますよね。古いもののほうがおいしくて高級だと聞いたことがあります。これはどういうことでしょうか?
「そうめんには、新物と古物(ひねもの)があります。一般的には湿度と温度が低い冬から春にかけて製造されており、その後、梅雨の時期を1度経て販売されるものが新物です。さらに1年置いて梅雨を2度越したものを古物と呼びます。梅雨の時期は、麺に含まれる酵素の働きによってコシが出ておいしくなるとされていますよ。このことから『古いもののほうがおいしい』との話があるのでしょう。ただし、誤解してはいけないのが、古物になるそうめんはしっかりと管理して保存・熟成させたものだということです。一般家庭でそうめんを2~3年保管したからといって古物にはならず、むしろカビなどの心配が出てきます。おいしいうちに食べましょう」