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マンゴーはカロリーが高い? 意外に知らない緑黄色野菜並みに優れた栄養も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

赤いアップルマンゴーと黄色いペリカンマンゴー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
赤いアップルマンゴーと黄色いペリカンマンゴー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 マンゴーは「世界三大美果」として、世界を代表するフルーツのひとつ。近年は、日本でも国産のマンゴーが流通するようになって人気です。濃厚な甘さが特徴として知られていますが、実は体にうれしい栄養成分を含んでいるそう。マンゴーについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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マンゴーのカロリーはバナナの約3分の2

 マンゴーは世界的にみると歴史の古いフルーツで、たくさんの種類があります。国産の旬は春から夏にかけてで、沖縄県や宮崎県、鹿児島県が有名ですね。フィリピンやメキシコ、オーストラリアなどの輸入ものは、通年出回ります。

 日本で栽培される多くは「アップルマンゴー」で、皮がリンゴのように赤く、果肉はオレンジ色で、濃厚な味わいととろけるようなやわらかい食感が特徴です。宮崎県産のブランド「太陽のタマゴ」もこの種類。糖度15以上、重さ350グラム以上、色と香りが美しいという基準をクリアした最高級品です。輸入もので多いのは「ペリカンマンゴー」で、皮も果肉も黄色く、ペリカンのくちばしに似た形をしています。こちらは甘みと酸味のバランスが良く、あっさりとした味わいが特徴です。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、マンゴーのエネルギーは100グラムあたり68キロカロリー。バナナ(93キロカロリー)の3分の2程度で、エネルギーはそう高くありません。

マンゴーに含まれる優れた栄養とは

 マンゴーの栄養成分の特徴として挙げられるのは、βカロテン。体内で必要時にビタミンAに変わって皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫機能を高める効果が期待されている栄養素です。マンゴーにはこのβカロテンが610マイクログラムも含まれており、野菜であれば緑黄色野菜に匹敵する量になります。

 このほか、コラーゲン生成に欠かせないビタミンCをはじめ、赤血球の生成やDNAの合成に関わる葉酸も含まれています。カリウムも含まれており、体内の余分な水分や塩分を排出してむくみ解消に役立つ面も。このように、マンゴーには美と健康のためのうれしい栄養成分が多く含まれています。

 ただし、マンゴーには漆のかぶれ成分ウルシオールに似たマンゴールという成分が含まれています。接触性皮膚炎を引き起こす可能性があり、マンゴーを食べることでかぶれなどを引き起こすこともあるので注意が必要です。

おいしいマンゴーの選び方や保存方法、食べ頃は?

マンゴーは格子状に切る「花咲カット」が食べやすい(写真はイメージ)【写真:写真AC】
マンゴーは格子状に切る「花咲カット」が食べやすい(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 マンゴーは、皮に傷がなく、色ツヤの良いものを選びましょう。ずっしりと重みがあるほうがおいしいです。やわらかくデリケートなフルーツで、思わぬところでダメージを受けやすいため、持ち運びは丁寧にしましょう。

 熟していない場合は、常温での保存が基本。冷蔵庫で冷やすと追熟が進みません。熟したものは乾燥に弱いので、キッチンペーパーで包んだらさらにラップをするか、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。完熟したものは日持ちしないので、早めに食べましょう。

 マンゴーの食べ頃は色の変化とやわらかさ、香りで判断します。アップルマンゴーの場合は赤くなってから、ペリカンマンゴーの場合は黄色に変わってから。指先で軽く押してみて、やわらかさを感じたら食べ頃です。皮の表面が少しベタついているのは、ブルームと呼ばれる成分が付着した状態で、こちらも食べ頃のサインと言えます。一般的に、熟していないマンゴーは指で押すと硬く、香りもほとんどしません。反対に、熟しすぎたものは黒い斑点が出てきて、味が落ちています。

 カットする場合は、果皮を向かず、格子状に切って花のように開く「花咲カット」が良いでしょう。コツは、中央にある平たい縦長の種の位置を意識しながら、魚の三枚おろしのようなイメージでカットすること。横長に置き、ヘタのほうから種と平行で横向きに包丁を入れ、中央の種の部分、両側の果肉部分と3つに切り分けます。

 両側の果肉部分の断面に、約2センチの格子状に皮の手前まで切り込みを入れて、皮のほうから押し上げるように反り返すと食べやすくきれいに仕上がります。種の部分は皮をむいて無駄なく、果肉のみをスムージーやヨーグルトなどに加えても良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾